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ている。38この中の6隻は駆逐艦であり、58隻はフリゲート艦として潜水艦専用艦艇が6隻に及ぶ。掃海作戦用の47隻の軍艦を保有しており、日本は最近海の戦車軍団と呼ばれ、既存の駆逐艦戦闘力の8倍にあたる戦闘力を保有するイージス巡洋艦を、米国に次いで世界で2番目に装備した。イージス艦は7,200トン級の超大型の軍艦で作戦範囲5,000マイル、時速20ノットの優れた性能を誇り、日本はこの軍艦をこの先8隻を保有する予定である。39一隻あたり10億ドルという、とてつもなく高い価格のため、フォークランドで自国の軍艦の撃沈を目撃した英国でさえ放棄したイージス艦を建造することで、日本の海上自衛隊は世界有数の海軍国になった。建造限界に達しただけでなく、体制が崩壊した結果、挙動さえも不自由になった旧ソ連の極東艦隊以上のパワーを、日本の海上自衛隊は持つようになったのかもしれない。40また作戦範囲が5,000マイルに及ぶ巨大な艦隊の建設が意味するところは、今後日本は航空母艦を装備した、真の意味での大洋海軍の道を歩もうとしているのではないかと推論させる根拠になる。イジスシステムの本質的な目的は、航空母艦の戦端を保護するところにあるようにみえるためである。

80年代の中盤以降、日本の軍事装備増強比率は、他のいかなる西側先進国よりも高く、新しい軍事計画も闡明し続けている。1980年代の日本の軍事力増強は、第一に、日本経済及び技術発展の当然の結果であったであろう。軍事力を増強するために特に苦痛を甘受する必要がなかったのである。第二に、日本の軍事増強要因は、米国の要求によるものである。米国は日本により大きな防衛費の分担(burden Sharing)を要求し、日本はこれにある程度応じたのである。第二の理由は、日本が感じたソ連からの脅威認知(Threat perception)の結果であった。41日本はさる10年間、GNPの1%未満を防衛費として支

 

38 日本の海上自衛隊の軍事力はIISS, The Military Balance 1992-1993(London: Brassey's 1993)平成4年版日本の「防衛白書」:SIPRI,SIPRI Yearbook,1993 (London: Oxford University Press,1993)等出版された資料を基に筆者がまとめたものである。

39 AEGIS護衛艦の性能に関しては朝雲新聞社、「自衛隊装備年鑑1992」(東京朝雲新聞社、1992、P.193を参照)

40 1992年現在、ソ連の極東海軍軍事力は、1985年と比較した場合、隻数で約30%程度減少し、総トン数も約10%減っている。だが日本の防衛白書平成4年版、(1993年度)は、ソ連の極東海軍力減少は、量的な次元での縮減に過ぎず、質的には減少していないと主張している。例として、1985年当時ソ連の在来式および現代式の艦艇比率は2.7対1程度であったが、1992年の場合、在来式対現代式艦艇の比率は逆転し、1対2.7になったというのである。このような分析は、今後日本の継続的な海軍力強化を正当化する根拠になる。

4l SIPRI, SIPRI Yearbook of Armament and Disarmament, 1993 ( London : Oxford University Press, 1993 ), pp. 241-242.

 

 

 

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