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3.日本の海軍力と増強現況

 

日本は本質的に海洋国家である。日本は島国であり、日本は全世界を相手に貿易を行っている国家であり、産業発展のために海外からの資源輸入を、ほとんど全的に海路に依存している国である。その結果石油の輸送ルートであるペルシャ湾からマラッカ海峡を経て日本にいたる海路は、日本人の生命線(Life Line)とまで呼ばれているのである。このように日本は海洋が重要であり、1968年ニクソン大統領のグアムドクトリンが宣言されて以降、太平洋地域の米軍撤収に対して日本は、「沖縄と以南百カイリを守る権利」があると主張している。事実米国の政策決定者達が、米国はアジアの介入を減らし、日本が米国の役割を担わなければならないという発言する時は、まさにアジアの海洋防衛は、日本が担わなければならないという意味で言っているのである。1987年5月18日、当時米国防長官ケスパー・ワインバーガーは、上院歳出委員会の国防小委員会で、「日本が半径1000マイル範囲内で十分な自衛力を持つ場合、北西太平洋での米国の防衛負担は少なくなる」と述べたことがある。36

このような発言は、日本の役割分担を明らかにしたもので、ワインバーガー長官は、「日本が自分の役割を負担した場合、米国の7艦隊を太平洋の他の海域やインド洋に再配置が可能だ」と述べた。

以上のような見地で、今後日本が軍事力を増強すると言う場合、それは海上自衛隊の軍事力が増強されるという事実を意味し、海上自衛隊の増強はまさに周辺国家に最も直接的影響を与える脅威要因になるのである。陸上自衛隊の増強は、日本の本土に対する防衛力の増強と認識され、航空自衛隊の増強もまたその軍事力の性格からして、防衛的な側面が強いのだが、海上自衛隊の軍事力増強は、日本の力の投射(Power Projection)増強を意味するためである。そうであるなら、現在の海上自衛隊がいかに発展し、その規模はどの程度にまで達しているのかをみてみることにしよう。

日本は既に1960年代中盤から装備を軍事化し始め、現在はほとんどの装備を国産化している。日本の造船技術は既に世界的な水準に達しているが、1960年代から海上自衛隊用のヘリ機搭載護衛艦DDHと艦隊空ミサイル搭載護衛艦DDA、艦隊艦ミサイル護衛艦DDA等、総37隻、4万8千余トンを76年に第4次防完成までに国産化したのである。37

日本の海上自衛隊は、現在17隻の潜水艦を装備しており、64隻の海上戦闘艦を保有し

 

36「朝鮮日報」1987年5月21日

37 李度王行、”日本の再軍備:その実相と意図に対するひとつの分析コウ ビョンイク編著、「日本の現代化と日韓関係」(ソウル:文学と知性社,1992),pp.151-152.

 

 

 

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