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ア内に経済勢力として参入するには限界があるだけに、長期的に適正規模の軍事力の維持は必至であると判断しているであろう。1980年代初頭以降、ロシアの太平洋艦隊は、旧ソ連の4大艦隊の中でも絶えず支援を得てきた。その結果、太平洋艦隊は、ソ連の没落前は最も強い艦隊として発展していたという点を忘れてはならない。

 

?W.日本の海軍力現況と展望

 

前章では、第二次大戦以後の東アジアの軍事秩序、及び朝鮮半島軍事秩序を相対的に規定してきた、米国とソ連の今後の海洋政策を概括した。だが今後21世紀の東アジアの安保、及び朝鮮半島安保に、何よりも重要な影響力を行使する国家は、日本だといえるだろう。日本は、既に多くの学者達によって次世代の超強大国になるかもしれないと指摘されており、27そのため日本の軍事力建設がどのような方向になされるかどうかの問題は、脱冷戦時代には最も重要な関心事の一つとなっている。本章では日本がいったいどのような過程を経て軍事力を建設するようになり、現在いかなる軍事力を保有し、今後いかなる形の軍事力を装備するようになるのか、海軍力を中心に検討してみることにする。

 

1.日本の軍事力建設

 

日本は、軍事大国になるということを公式の場で自ら明らかにしたことはない国である。むしろ日本は、軍事大国にはならないだろうという事実を、より一層強調している。

だがこのような公式的見解のみをもって、日本が今後どのような姿の強大国になるかを描くことはできない。日本は軍事力増強を続けており、冷戦が終わった今日、日本の軍事力はむしろより早い速度で増強されている。また日本の軍事力、及び日本の政治力が国際化傾向にあることも露骨に示されている。日本は今や国連安全保障理事会の常任理事国になれる状況にあり、平和維持活動という名のもとに既に陸上自衛隊を海外派遣した。日本が軍事大国の道を歩むのかどうかの問題を分析するには、日本の政治指導者達の発言に頼るよりは、実際の日本の軍事力を考察する方はがるかに有用である。

第二次世界大戦に敗戦し、米国に強制占領された後、米国占領軍により作られた日本の平和憲法第九条の一項は、日本はこれから`武力による国の威嚇、又は武力の行使は国際紛

 

27 日本が21世紀に軍事的な側面でも超強大国になり得るとの見解は、George Fridedman and Meredith Lebard, The Coming War with Japan (New York: St. Martin's Press, 1991) :Jeffrey T. Bergner, the new Superpowers : Germany, Japan, the U. S, and the new World Order (New York : St. Martin's Press, 1991) : Paul Kennedy, Rise and Fall of The Great Powers (New York: PandomHouse,1987).

 

 

 

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