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米国防総省が議会に提出した1992年度の報告によると、基本軍事力は戦略核兵器軍事力、北大西洋条約機構(NATO)軍事力、太平洋軍事力、そして有事の際の軍事力(Contingency forces)で構成されている。7結局、冷戦で政治的な勝利を収めたのは米国であり、軍事力に与えた影響は予想外に拡大したとの見方が可能である。これに関連して冷戦当時ソ連を中心に構成されていた全般的な戦略プラン、軍事作戦や教理、及び武器体系を再考し、今までよりもはるかに流動的で不透明になった安全保障環境に対応し得る戦略プランを樹立しなければならないという負担を抱えている。米国議会傘下の技術評価委員会は(U.S.Congress Office of Technology Assessment)は、今後米国が軍事戦略を立てる際、次のような4つの基礎を念頭に置いて計画しなければならないと強調している。要約すると、第一に、予想可能な脅威の性格と規模に備え得る戦略。第二に、作戦介入に必要な戦略の規模や任務をまっとうするためにかかる時間、及び全般的な戦略維持体制の確保。第三に、作戦時に必要な戦力を支援することができる範囲と独自の支援能力、そして第四に、敵軍との実戦で役立つ武器体系範囲の評価である。8このような原則を政策化するには、相当時間がかかるため、クリントン政権が短期的な解決方法を採択し得る条件にあるとはまだ思えない。

 

3.冷戦後の米海軍の戦略と役割

前述したように現在進行中の米軍再編作業は陸、海、空軍にすべてに及ぶだけに、海軍も例外ではない。既に米海軍は湾岸戦争以降、全般的な再検討作業に着手しており、特にデザート・ストーム作戦(Desert Storm)の教訓を中心に、 地域戦略(regional strategy)を計画していることが伝えられている。米国海軍はレーガン政権の600隻(600ship navy)海軍を基に、海洋戦略(maritime strategy)を推進してきたが、(表1)の通り、1997年までの全体軍艦数の段階的削減計画が象徴するように、米海軍の縮小はこのまま続くであろう。

 

6 Major General James M.Myatt, 'American Defense Policy in 1992: An Updata '(seoul: U.S. Eighth Army Headquarters, 1992),P.3.

7 Dick Cheney, Secretary of Defense, Annual Report to the President and the Congress (Washington, D.C. : Government Printing Office, 1992), p.11.

8 U. S. Congress, Office of Technology Assessment, American Military Power: Future Needs, Future Choices-Background Paper, OTA-BP-ISC-80(Washington,D.C.: Government Printing Office, October 1991), p.9.

 

 

 

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