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○海上のチョークポイント

いくつかの国は、この地域におけるチョークポイントの安全保障について不必要な懸念を抱いている。東アジア地域を横切る戦略航路を通じてのアクセスは、多くの国々にとって自国の軍事展開及び経済的繁栄のための鍵である。これまで多くの研究において、マラッカ・シンガポール海峡、インドネシア及びフィリピンの群島水域内のシーレーン及び地域内のその他のチョークポイントを通る、そして、南シナ海を通り、日本、米国その他の国に至る妨害のないアクセスの重要性が強調されてきた。これらのチョークポイントが世界経済の繁栄にとって不可欠であることは誰もが認めるところである。1993年、世界の商船隊の半数以上の船が、マラッカ、スンダ、ロンボクいずれかの海峡を通り、南シナ海のスプラトリー群島の近傍を航行した。これらのチョークポイントのいくつか、例えば、マラッカ・シンガポール海峡は、極めて混雑のはげしい航路である。確かに、これらのチョークポイントを通ってのアクセスの制限という、ありそうにない事態で最も影響を受けそうな国は日本(同国の輸入原油の70パーセント以上及びその他の物資がこれらの海峡を通っている)である。

この依存度から見て、どこかの海洋強国が自国の生命線がもし何らかの理由で海峡に隣接する国がアクセスを妨害するようなことがあれば、容易に妨害を受けることになるといった考えを持つことも当然考えられる。しかし、この考え方は見当違いである。まず、どの沿岸国にとっても、自国の生命線である海峡を通るアクセスを妨害することは利益ではない。一例として、マラッカ・シンガポール海峡について考えてみよう。同海峡は、シンガポール、マレーシア両国にとって安全保障及び経済繁栄のため極めて緊要であり、これを封鎖することは自らを傷つけることになろう。更にこれら海峡に適用される妨害のないアクセスを保障する十分な国際ルールも存在する。平和時にそれに伴う国際社会からの反撃を招かずにどのようにすればこれらの海峡から国際航行を閉め出すことができるか想像することすら困難である。例えば、中国が、もし、何らかの理由で、国際法によって保障されている航行の自由を南シナ海で妨害するような行動をとることがあればトラブルを招くことになろう。

アクセスに対する制限の問題を解決する一つの方法は、強力な多国間機構、例えば、沿岸諸国に対して海峡を管理するための負担を軽減しうる機構を作り上げることである。マラッカ海峡における一般的な不満の例の一つは、海峡を利用する側が、日本を除いて航行の安全及び環境保護のための資金面における貢献を全く行こなっていないことである。こ

 

 

 

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