本の軍事力強化がこの地域の安全保障を損いかねないとして非難を始めている。また、中国は、米国との軍事同盟を強化しようとする日本のこの地域に対する意図に対して疑問を呈している。ある意味で、日本は対中国関係でジレンマを抱えている。日本の軍事的同盟国である米国は、中国に対して軍事強硬路線をとり、台湾に対する威嚇は受入れられないと考えている。
日本は、米国の対中国封じ込め政策の片棒を担ぐことを望んではいなし、日本自体中国を封じ込めても利益がほとんどない。しかしながら、日本には米国に追従する気がないことがはっきり見えてきた。日本は、特に有事における防衛政策についてより大きな発言権を持ちたがっている。1997年6月に合意された最新の日米防衛ガイドラインは、日本に自国周辺の有事事態への対処について更に柔軟性を与えている。韓国、中国そして日本のマスコミから辛らつな批判を浴びたこのガイドラインは、有事の際、日本に特別な軍事任務を課す日米安保条約における新しい側面を示している。日本には、自国が軍事的弱小国のまま留まったために、中国によってこの地域における日本の安全保障上の利益が侵食された場合への備えはない。
このジレンマとは、日本がこの地域及び米国の懸念を招くことなしに軍事的に余り強くなれないことである。問題は、日本という国がケーキを取ることと食べることを同時にできないことである。日本は何らかの共通責任を分担することに備えなえればならない。例えば台湾をめぐって米国と中国が対立するという、ちょっとありそうにないシナリオにおいて、もし米国が日本に対してエアカバーと後方支援を要求した場合、日本はどう行動するか?日本は例えば国内の都市を中国の攻撃にさらしてまで米軍に日本国内の基地から作戦させるのか?ある部分はあいまいであるものの、新しいガイドラインは日本にある程度の余地を与えている。このガイドラインが、日本のマスコミが非難するように、日本を将来戦争に巻き込むか否か判断を下すにはまだ早すぎる。誰にとっても最善の政策は、この地域における強力な米国のプレゼンスと国際慣行に従って行動しようとする中国による現状の維持である。中国にとって脅威と映るような強力な戦力投入能力を保有しない日本は、おそらく現在持っているバランスのこつを維持しうるであろう。
過去の憎しみに再び火を点け、両国を衝突コースに乗せることは、日中いずれの国にとっても無益である。すでに述べたとおり、両大国の衝突は21世紀の悲劇となろう。しかし、それと同時に、両大国は、いずれも相手が相応の報復を受ける覚悟なしには自国に損害を与えることはできないような軍事力の整備について、ある程度の確信を持たなけれ