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22.目につくのは、両用戦強襲艦が6隻しか必要とされていないことである。そのような小さい兵力では、PLAは1000人少々の部隊と70両の装甲戦闘車両又は火砲しか揚陸できないだろう。それらの兵力が500NMにわたり散在する島にまばらに散開されれば、艦艇からの陸上砲撃又は空襲で容易に排除されるであろう。最後に、海上任務群には15隻の支援艦に加えて10隻の機雷敷設艦があり、この機雷敷設艦が生き残れば、浅海海域での海上使用拒否(sea denial)能力となるであろう。

 

23.次いでその計画では海軍の航空支援を挙げている。南沙群島に最も近い海南島飛行場は1,000カイリ離れていることを指摘しつつ、B-6/Badger爆撃機はこの海域に届く行動半径を持ってはいても、敵の防空に対しては脆弱であることからこれを使用しないと見積っている。その代わりとして戦闘機が使われる。運用可能なもの中でSu-27/Flankerだけが十分な行動半径を持つ、と書いた筆者は正しいが、その運用方法の企図については何も書いていない。もちろんSu-27の航続距離では、空中給油なしにはわずかな投入機で十分な成果を挙げることはできず、長時間にわたる滞空時間も得られない。その上、Su-27の部品保有状況は芳しくないと考えられ、中国が長時間戦闘行動を維持できるかどうかは疑問である。

 

24.最後に、第2砲兵のDF(東風)-3ミサイルには海軍、空軍基地で対向訓練を行うために「通常弾頭(恐らく通常型であろう)」が再装備されるであろうが、絶対的に必要と認められない限り使用してはならないことか勧告された。それは中国が空中早期警戒の分野には弱いことを認めた上で、海上での敵のミサイル発射を適時に予知することには困難があることを考慮している。このジレンマには、J-6やJ-7といった航続距離の短い戦闘機は「敵の誘導ミサイル艦を攻撃し、それらを先制攻撃で慨壊することに最善を尽くすべきだ」と示唆することにより対処した。報告書は、当然のことながら最大の問題と考えられる点―すなわち、南沙群島を占領した後、どのようにこれを守るか-を挙げることで締めくくっている。有効な解決法は提示されていないが、空母の早期完成に(淡い)希望が掛けられている。

 

25.このシナリオの展開には議論の余地もあるが、KITTYHAWK事件、現在の訓練の性格と規模、近代的軍事技術を取得し、展開させようとする決意、かなりの数にわたる政府の公式発表を考慮すれば、将来の企図やそれらを実現させるための行動についてのまとまった構図が浮かんでくる。中国は明らかにより野心的な海洋能力を開発しようとしており、それはやがて大平洋沿海の弱小国を従属させ、より精強な海軍と戦おうとするかもしれない。

 

将 来

26.将来の海洋への願望に関して中国の指導部は開放的であったため、幅広い戦略目標の見積もりは比較的簡単であった。しかし、それらの目標をいかに達成するかを予測するのはそう簡単ではない。ましてや中国自身でさえその進展を形成すべき、予見できない、相互に関連し合う多くの要素の展開に確信が持てないために、当然より推測的なものとなる。しかし、再構築がいかに進展するかについて

 

 

 

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