に従って海軍力を整備し、運用していることである。すなわち、1987年4月3日の『解放軍報』に、徐光裕(Xu Gung-Yu)の「合理的な3次元的戦略国境を追求する(19)」という論文が掲載されたが、この論文の問題点は国境は力関係によって変動すると、ヒトラーの生存圏思想に極めて類似していることである。
「戦略国境は国家と民族の生存空間であり、戦略国境を追求することは国家の安全と発展を保証する上で極めて重要である。また、国境は総合的国力の変化にともない戦略的国境線の範囲は変動するものであり、過去、ソ連やアメリカは軍事力を中核として、地理的国境をはるかに越えた勢力圏を拡大してきた。陸地、海洋、宇宙空間から深海に至るこれら3次元的空間は、安全空間、生存空間、科学技術空間、経済活動空間として中国の安全と順調な発展を保証する戦略的国境の広がりを示すもので、国益はその拡張された勢力圏の前線まで拡大されており、戦略的には国境線の拡大を意味する」。
今後の懸念事項は中国の領土に対する曖昧な認識であり、国境が不明確な海洋については、海軍副司令員の張序三が、「世界には海洋に面した国家間の海洋権益、海洋秩序をめぐる支配と反支配、略奪と反争奪の闘争がある」。これに対して海軍の任務は「国家の主権と海洋権益を守るものである」と、単に領土だけでなく海洋権益の防衛を大きく取り上げたが(20)、1992年2月には「中華人民共和国領海・接続水域法」を定め、「中国大陸及び沿岸諸島、台湾及び魚釣島を含む付属島嶼、膨湖列島、東沙群島、西沙群島、南汰群島、台湾に属する島嶼が含まれる」と、一方的にこれら海域の領有及び船舶の通過に関する規定を宣言して1996年5月の第8期全国人民代表会議では尖閣列島と南沙群島は外した)、さらに1993年3月の人民代表会議では李鵬首相が「国境、沿岸の警備を強化し、国土、主権と海洋の権益を守らねばならぬ」と防衛の対象に海洋権益を加えた。この中国の領土に対する強い執着や過度のナショナリズムをともなう海洋資源獲得欲、万里の長城を造った歴史が示す過度の