岸地区の改革・解放と経済特区の建設を支えて来た。海軍は海洋権益と海上の良好な環境を守り、シーレーンの防衛を任務とする」べきであると、シーレインの防衛を付言した。さらに、1996年3月の第8回全国人民代表会議では、李鵬(Li Peng)総理が第9次5カ年計画(1996年-2000年)と2010年長期目標を示したが、「国家の安全を守るため、国防の近代化を強めなければならない」。「戦闘力を高めるため、新型兵器の開発と開発手段の更新や、改造を重点的に実施し、ハイテク条件下に必要な有効な兵器を優先的に発展させるべきである」と、軍の近代化が国家の政策として指示された(14)。
このように、海洋資源への着目が中国海軍に海洋の権益、海洋国境の防衛という新しい役割を与え、今まで内陸や沿岸防備を主任務とし、陸軍作戦を支援してきた沿岸海軍(Brown Water Navy)の中国海軍を、外洋海軍(Ocean Navy)へと転換させたのであった。また、商船隊に関しても、「第2次大戦では74パーセントの商船が軍用に徴収され、その輸送数量は98パーセントを占めたこと、フォークランド戦争にも商船が動員されて兵器や武器を輸送しただけでなく、上陸作戦にも使用されたことなどを指摘し、海洋国家として相応の商船隊(第2海軍)を建設すべきであると、「軽視できない第2海軍(15)」と題する論文を「解放軍報」に掲載するなど、商船隊の充実にも力を入れ、現在では総トン数1644万900万トンの商船保有国に成長した。
3中国海軍の戦略
(1)近海防衛戦略
中国の海軍戦略は潜水艦、航空機、水上艦艇、沿岸ミサイルなどの各種兵器を、2層、3層と重層的に配列した多層縦深防御の「海上多層縦深防御戦略」で、中国海軍の艦船部隊指揮官のゆり籠といわれる大連艦艇学院長の林治業(Lin Chiye)少将の論文によると(16)、海岸線から150海里以内の第1層の防衛は、陸上配備のミサイル、対艦ミサイルや魚雷を装備した高速哨戒艇、沿岸から50から300海里の第2層防衛線の内側は、ミサイル駆逐艦や護衛艦、最も外側の第3層防衛線、すなわち対馬海峡、沖縄列島から南沙群島の内側はミサイル搭載の潜水艦や航空機が防衛に当たるため、次の能力を整備すべきである。
?@かなり大きな作戦半径を持ち、第1列島線内側の南シナ海と東シナ海で作戦できる能力。
?A独立した制海征空能力。