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で増加しており、本年度の予算803億元は15%を超える伸び率を示している。一方、対GNP比は、むしろ年々下がってきており、これは経済が急速に発展していること、かつ国防より経済を優先していることを示している。

今後、中国の経済は不透明なところはあるものの、おおむね順調に発展することが見込まれており、より多くの資源を海軍力の建設に投入することが可能となる。

(5)最新の武器の獲得が容易

海空軍力の整備には、先端の科学技術力が必要であるが、現在の中国にはその力はなく、先ず外国に依存せざるを得ない。ロシアは国内の経済問題を解決するために、最新の武器システムを安価で売り込んでおり、また軍縮を強いられているアメリカを始めイギリス、フランス等の西欧諸国も、軍需産業の生き残りをかけて武器の売却を狙っている(現在、西欧諸国は対中武器輸出に規制あり)。中国は最新のハイテク兵器を低価格で容易に購入することが出来、海軍装備の近代化を図ることが出来る。

 

4 中国海軍の将来

(1)海軍戦略

1985年秋、従来の領土、領海などの保全に加え、積極的に海洋権益の擁護を打ち出し、「沿岸防御戦略」から「近海防衛戦略」として知られる新しい海洋ドクトリンを採択した。

ロンドンの国際戦略研究所の海軍分析家 John Downing氏は、論文「発展する中国海軍戦略」(JANE'S INTELLIGENCE REVIEW 96.3)の中で次のように述べている。「「近海」の範囲は、北は日本海から南はマラッカ海峡まで、東は「第一列島線」まで達すると定義されている。この海域は中国本土から1,000マイルの距離にまで及んでおり、日本、フィリッピン及び南シナ海を含んでいる。

最近の整備計画によれば、中国は2,000年までに外洋艦隊になることを企画している。長期的には、2020年までに外洋能力の保有が企画されている。中国は「外洋」を「第二列島線」に達するところまでと定義している。厳密には、中国がどの島々を指しているか不明であるが、それは北の千島列島、小笠原諸島及びマリアナ諸島、南のパプアニュウギニアを含む広大な海域と考

 

 

 

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