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まず、 15億の国民を養う食糧をいかに確保するかである。中国は現在、12億の国民を養うのに、国内生産(4億5千万トン)によっているが、その可耕地は、土壌の浸食やその他の理由により毎年減少しており、増産の見込みは少ない。今後?@海外からの輸入(SLOC)?A海洋資源(南シナ海、東シナ海の豊富な海産物)の確保が必要になってくる。

次に、中国が繁栄するために必要なエネルギーをいかに確保するかである。

中国の石油需要は過去10年間に50%以上増加し、今や米国、日本に次ぐ大量消費国となり、すでに石油の輸入国となった(93年〜)。今後、中国経済の繁栄に伴い、エネルギー需要が増加することは確実である。一方国内の石油資源の開発の可能性が少なく、また他のエネルギー資源の増加も見込めない。

このため、?@海外からの輸入(SLOC)?A海洋資源(南シナ海、東シナ海の豊富な石油及び天然ガス資源)の確保が必要である。

中国は1992年2月、「領海法」を制定して、係争中の「西沙、南沙諸島及び尖閣列島が中国の領土である」と内外に宣言し、「海洋権益の防護の任務」を海軍に付与した。

海軍副司令員の陳 明山中将は、論文「海軍建設の方針」(91.11)の中で、「21世紀は海洋の世紀であり、海洋はぼう大な資源の宝庫であるために、各国間の対立と争奪は陸上から海へと方向を変えるであろう。中国周辺海域もまた豊富な資源を埋蔵しており、それらの資源の開発と利用は、我が民族の将来に関わっている。わが国は、海洋の開発・利用と海洋権益の擁護のために、近代的戦闘能力を備えた海軍の建設を加速する必要がある」と述べている。

海洋の開発・利用が、今後の中国の発展の鍵であり、それを実現し、海洋権益を護る近代的な海軍の建設を推進しようとしている。

(4)中国経済の繁栄    近代的海軍力を建設する経済力

海軍は航空、水上、水中にわたる多様な兵力で構成され、しかもそれぞれがハイテクの装備でなければ戦力とならないので、その建設に莫大な費用と時間を要する。これまで海軍の重要性を認めても、経済的にそれを実現する余力はなかったが、改革・解放政策の結果経済の発展は目を見張るものがあり、念願の海軍力の増強・近代化に着手したところである。

中国の国防費は、1989年以来9年連続で対前年度比10%以上の伸び率

 

 

 

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