ない海上白衛隊にとって大きな脅威である。
3 中国海軍の増強・近代化の背景
(1)国家目標 富国強兵
米国防総省の中国軍事能力に関する報告(97.4.8)は「中国の長期的目標は世界の最強国家の一つとなることである。中国の指導者達は、21世紀前半のある時点で東アジアの主導的な経済・政治大国として中国が確固たる地位を確立する姿を思い描いている」と述べている。
劉華清 中央軍事委員会副主席は、論文「近代軍隊の建設」(解放軍報93.8.6)の中で「中華民族の振興と偉大な発展を実現させるため、我々は、国防の近代化を推進し、強大な近代化された人民軍隊を建設しなければならない。」と強調している。
このように、中国の指導者は、豊かな国家、偉大な国家の実現のため、強力な軍事力の建設を推進しようとしている。
(2)ロシアの脅威減少 海空軍重視
冷戦構造の崩壊は、ソ連の北方からの脅威を減小させ、中国を取り巻く安全保障環境を激変させた。この情勢の変化に伴い中国は、国家戦略の指向軸を北から東、南にすなわち陸から海へ転換した。
劉華清 副主席は、中国軍近代化に関する論文(解放軍報93.8.6)の中で「中国は海に臨む大国で、三百万平方キロの領海、内水、大陸棚及び専管経済水域等の中国の管轄に帰すべき海域を有し、一億八千キロに及ぶ海岸線、大小六千五百もの島嶼を有している」「中国の海洋権益を守るために、強大な海軍を建設しなければならない。現代戦は、海上作戦であろうと陸上作戦であろうと、空軍の支援を切り離すことは出来ない。従って我々は、海空軍の近代化を優先的に推進していく」と表明している。
このように中国は、優勢な制空能力と外洋型海軍の建設を最優先にする政策を採用している。
(3)中国の発展 海洋の活用が不可欠
中国は急速に経済成長を達成しているが、今後このペースで発展すると、人口は2020年には15億人に達すると見積もられ、世界的規模の問題を生じる恐れがある。