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2番目に港湾当局はVHFチャンネルを聴取し続け、船舶からのどんな依頼にも答えるべきである。問題は再び、リソースと港湾当局の積極的な意志にある。

 

船舶運行の動きはレーダーの記録紙によって監視出来るし、通関手続きなしで入って来る船舶はパトロール船によって遮られる事が可能である。パトロール船は又、投錨地の様子を監視するのにも使用出来る。1980年代初めにナイジェリア沿岸で度重なる船舶への急襲が起こった後、個人所有の船が商船の200メーター以内に近づいてはいけない事になった。これに反した者は起訴された。このシステムにより襲撃数が大幅に減った。

 

第11章 将来

 

1996年2月26日に漁船MN3―ノーミナ号は10人の乗組員を乗せて、南フィリッピンのシバゴとマタナル ポイントの間にあるバシラン島沖で魚を取っていた。正午突然に、それぞれ2人の自動小火器をもった男を乗せた2隻の快速ボートが近づいた。ガンマンは発砲し乗組員9人が殺され、10人目のジャンゲイ アジノホンは頭後部に負傷を負った。負傷したにも関わらず、アジノホン氏は何とか泳いでその場を逃げたが、海賊はMN3―ノーミナ号を引っ張っていくための綱を取り付けるのに忙しかった。

 

上記の事件は、最近起きている暴力を伴う襲撃事件の典型である。増加する暴力と海賊による襲撃事件を考えると、その理由と将来がどうなるのかと言う質問が出て当然だ。

 

初めの質問に答えるのは簡単である。つまり海賊に利があるからである。彼らには広範囲の活動の場があるのだ。現代のレーダーを使えば自分たちが追跡を受けているかどうかはすぐわかる。と言う事は、もし取り調べの一行が犯行現場に向かっていても逃げる時間があるのがわかっているから、賊はいい時を見計らい、安全である事がわかって犯罪を犯すのである。困難は大きい。カバーすべきだだっ広い海があるだけでなく、経済的にそれをカバーする手だてのない国もあるのだ。海賊を捕まえ、それに対して適した処理能力を持つにはかなりの費用を必要とするが、国によってはそんな資金がないところがある。こうした難題に加え、海賊が2国間にまたがる領海で暴れ回って、1国の裁判管轄区から他方への管轄区に素早く行き来が出来ると言うような場合に起きる政治的問題を考える時、 まだまだ解決されねばならない問題がたくさん残っているのは不思議ではない。更に困った事は非常に多くの国々が、問題を把握するどころかその逆を行き、問題など無いし、あったとしても自分達には何も出来ない等いろいろな主張をすることだ。ベトナムの状況に関しては人道的な声が上がり、1980年に国連が援助して海賊防止団を設置したにもかかわらず、タイ政府が問題に乗り出した事があった。しかしその他、

 

 

 

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