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政府は問題解決のためにほとんど何もしていない。最初の8年で1300万ドルも費やしておきながら、この海賊防止団がただ1人の海賊も捕らえてことには申し立てがされねばならない。

 

2番目の質問、「何が出来るか」はやさしい問題ではない。IMOは海上の安全問題についてイニシアチブを取っているし、年2回開かれる海上安全委員会で船舶の安全問題についてを話し合ったり、プエルトリコ、ギリシャ、日本で地域会議を開いて積極的な姿勢を持続してきた。1988年に採択された「海上航行の安全に対する不法な行為の防止」に関するIMOの国際条約はいくつかの海賊行為事件にもあてはめられる。この条約は暴力による船舶の拿捕、船上の人間に危害を加える、船舶を破壊したり船舶に損害を与えるような物を持込むなどの犯罪を犯す者に対して各国が適切な手段を取ること保証する。この条約のユニークな特徴は、上記に述べたような犯罪に対する裁判権を広げる事とは別に、外国犯の引き渡しの条約がない国々にも引き渡しを考慮する様に薦めていることだ。

 

イニシアチブを取る事は良いが、現実に態度を強ばらせた海賊にこうした手段で効果があるのかどうか疑わしい。一番の問題は海賊を捕らえる事が出来る事であり、補らえた後にどうしたらいいかはそれ程問題ではないのだ。この例外はアナ シエラ号事件であり、海賊にやられた船舶の船荷と海賊を船ごとそのまま取り押さえたのはこの何年間かで初めてであった。残念ながら1988年のローマ国際条約の調印国でありながら、中国はただ海賊を本国に送還しただけであった。IMBはこの中国当局による無活動が海賊との戦いにおいて大変に不幸な出来事であったと思う。

 

沿岸国家の中には海上で行動する手段に欠ける国があり、それはについて事情はわかるし認めようと言う事はすでに述べた。しかしどういう手段にせよ、陸上においての協力対応の姿勢さえまだ欠けているのだ。海賊は犯罪を犯すと言う目的だけで海上にいるのだ。1日の終わりには陸に上がり収穫物を処理するのだが、彼らにとっては陸にいる時が一番危ないはずだ。法執行機関は海賊のこういった面を把握しておく必要がある。目下のところ海賊はその地域の人には関係がなく、「夜中に航行する人達」だけの問題であることから、海賊問題は個々の国々の法執行機関内ではあまり差し迫った問題ではない。

 

IMOのイニシアチブに従ってこの偏狭な姿勢が変わって、各国がそれぞれの海城に出没する脅威を除去する事に協力してほしい。それでなければ、これからの10年間に海賊による襲撃の劇的な増加を見るであろう。

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