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第10章6節 前もっての計画

 

上記で述べたこの1連の事の次第は、前もって計画され、うまく守られ、計画通りに運ばれれば大変に効果がある。それゆえ危険地帯に入る可能性のある船舶が、状況に適した有事管理計画を持つ事と、個々の乗組員全員が自分達に直接関係してくる詳細と共に、その管理計画の一般原則を知ってよく理解する事は非常に大切である。同じく大切なのは賊の襲撃前、襲撃を受けている間、襲撃後において全員の規律行動がよく遵守されている事だ。 1人でも規律を乱す者がいれば、計画がもたらす効果は完全に台無しになり得るのだ。

 

この様な有事管理計画の目的は、他の緊急の場合と同じように、有事の際に乗組員が自分の任務と危険とをよくわきまえているかどうかを確認する事であろう。

 

第10章7節 無線による警告

 

海賊行為を抑圧するについてその鍵となるのは情報であろう。もし怪しい動きが感じられた場合、その船舶が極東か東南アジアにいるなら、その地のRCCとRPCに連絡を取るのが良いだろう。海上の安全に危険があると思われるなら、船長はその地のRCCと近辺にいる他の船舶への警告として「全局(CQ)」に「危機メッセージ」を放送する事を考えるべきだろう。

 

襲撃を受けた後か、出来るなら襲撃中に、その地のRCCに無線連絡がなされるべきである。 もちろん、事件が起きる地域に入る前に全ての無線装備が点検され、完全な状態にされていなければならない。1999年2月1日までに全ての船舶は世界海難安全システム(GMDSS)が装備されているべきだ。そして船舶の位置が自動的にアップデートされない時は、無線技師によりー定の間隔でたびたびこれがなされなければいけない。インマルサット船舶地上局が使えれば(船舶のサテライト通信装置)、「標準メッセージ」を草案、保管するのに便利であり、あらゆる海賊行為警告に使われるであろう。国際電気通信連合(ITU)は「海賊行為/武装略奪」が全てのデジタル選択通話(DSC)装置に災難メッセージとして分類されるべきであると言い、インマルサットが海賊メッセージをGMDSSのインマルサット―Cメニューに加えたと言う事は注目されるべきである。

 

船長はその権限で、「緊急メッセージ」の放送を2182khzのVHFチャンネル16やその他適当と思われる周波数の全ての局に伝えるべきだ。もし船長が船舶や乗組員の安全を侵すような大きな危険があると思えば、MAYDAY,SOS,URGENCYなど、それにふさわしい警告が即刻発せられるべきなのだ。

 

 

 

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