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いタイプの中国の国家主義の延長上にあったものか、犯罪組織よるものであったかは定かではない。しかし、この類の襲撃は事件が国際的に報道された事により今ではなくなった。

 

最近は静まっている様だが、1995年にはソマリア近海で14件に亘る商船を対象にした襲撃事件が起きた。これらは戦争とか暴行がありふれた事になってしまった地域に当然起こるべくして起きた事件であった。しかし、1955年以来この14件以外にこうした事件が習慣の様に起きていないのは幸いだ。

 

第3章5節  最後に、もう一つのタイプの暴力的海賊行為が東南アジアで起きている。 それは航行中の船を乗っ取り、その間乗組員には全く抵抗させず、賊が船舶を乗組員に返すまでには船荷の全てを略奪してしまうと言うやり方である。この様な犯行では陸上にいる者が襲撃に対処しようとしても無理なのである。

 

第4章 海賊行為とその件数

 

IMBの海賊行為の定義には停泊中の船舶が陸から襲われ略奪を受ける事件も含まれる。

 

巻末の第4章1のグラフは襲撃が起こった年の件数とその分析結果を示している。IMBでは1991年に初めて年次報告書を発行し始めた。それゆえ、地域別による件数の詳細はその年からのものになる。他の数字についてはIMOから引用した。他の数字と比較する時に数の上で多少の違いがグラフに出るかも知れないが、これは異なる定義やあるいはレポートの追加物を使ったり、犯罪件数を数えるのにちょっとしたミスが出たりした事による。

 

第4章2に見られる地域別件数は、ほとんどの襲撃が極東か東南アジアで起きている事を示している。

 

1992年にマラッカ海峡を取り巻く3国が中心になり、海賊行為防止策を考え始めた。この地域での襲撃件数の減少はこの方策がうまく成功した事を示している。

 

1993年にはほとんどの襲撃が極東で起きている。その中でも中国近海での襲撃が多かった。これが減少したのは多分その問題を取り扱ったマスコミの報道によるのだろう。

 

全体の傾向として被害届け件数が増加している。1996年には224件届け出があった。1994年にはどういう理由からか滅少が見られたが、1985年の件数と比較すると全体として被害届け件数は増加の傾向にある。1997年の前半6ヶ月には79件の届け出があった。

 

 

 

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