日本財団 図書館


うになったのである。こうした顕著な海洋事故はかなりの関心を引くものであるが、これらは海洋汚染源として捉えられる必要がある。これらの事故は船から流出する原油による海洋汚染源の3割から4割を占め、意図的な活動(例えばビルジポンプやタンク清掃など)がその他を占める。(21)これに対し、海運操業は海洋汚染の3割しか占めておらず、地上の汚染源(流出および大気からの降下による)、天然漏出や沖合での生成がその他を占めている。海運による海洋汚染の危険の低減および海洋安全の向上は、海運の地理、船舶と貨物の種類、熱帯雨林のマングローブおよび珊瑚礁などのセンシティブな海洋環境の識別などを体系的に考慮する必要がある。(22)アジア太平洋地域の経済発展の結果、同地域における海運交通は大幅に発展した。特にマラッカ海峡とシンガポールから北東アジアへの航路は顕著な発展を遂げた。こうした発展の一大特徴は、特に化学薬品を搭載した危険な貨物輸送の増加である。

 

地域海洋データベースの事例

 

インドネシア

 

インドネシアは多数の島々と拡張的な排他的経済水域を持つ島嶼国家であり、生物・非生物海洋資源を豊富に持っている。このため、同国は海洋・沿岸地域の開発に多大な努力を注いでいる。これは海洋資源評価・計画(MREP)を通じて管理されている。これにはインドネシア海洋資源情報データベース(IMRID)も含まれている。MREPには10の海洋沿岸管理地域(MCMA)と3つの特別海洋地域(SMA)がある。

 

IMRIDには多様な機関から収集されたデータが保存されており、ラスターデータ(例えば、絵、航空写真、衛生画像など)、ベクトルデータ(例えば、海水地図、等高線など)、アルファデータ(例えば、データ種、プランクトンデータ、塩分データ、表など)で構成されている。これは、海洋地質学、海洋地理学、社会経済学、植物相・動物相・生息地、そして海洋活動の5つに分類されている。IMRIDデータはデータ安全についても、最重要機密、重要機密、極秘、公開書類の分類があり、これを通してインドネシア軍司令部がデータ検索・アクセスの管理を行う。

 

オーストラリア

 

現在、オーストラリアでは国立の海洋データインベントリーが構築中である。このインベントリーはオーストラリア海洋データインベントリー(AMIDI)と呼ばれており、国立海洋情報システム(NATMIS)の一部である。NATMISは海洋救助2000計画の一部である。海洋救助2000計画そのものはオーストラリアの海洋資源の保護・管理を目的としている。「海洋データ」という用語は広く、そして曖昧に解釈される。なぜなら、海洋データは「海底平野に関する薬学的利用からマングローブの金属化学的研究まで多岐にわたるからである。」(23)AMIDIには特定のデータ集合はそのものは含まれていない。AMIDIはむしろ、データ内容、データ収集場所、収集時期、手段、収集者、編集などのデータに関する情報(メタデータ)を保存している。

 

NATMISは複数のオンライン海洋・沿岸構想の上位概念であり、インターネット(WWW)を通じて情報普及を行っている。この目的は国内のサイトをネットワークで結び、諸機関がデータ・情報を以下のような重要な質問に対する回答をもとに維持・更新がきるようにすることである。

 

・オーストラリアの海洋・沿岸環境の現状

・海洋・沿岸イシューに関する情報の入手可能な場

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION