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海洋・沿岸地域の持続可能な開発にとつて海洋情報・データベースが重要であることが、海洋情報学という新たな学問をもたらす、と指摘されてきた。この学問は、意思決定者が持続可能な開発という複雑な問題について意思決定を行う際、必要な良質の総合的情報を、いかに意思決定者に提供するか、ということを研究する学問だと言えよう。(13)しかし、これに伴う困難は、必要な情報が利用できないということ、あるいは利用可能であっても国内や国際的に分散しており、したがって意思決定者の理解できる形で統合し、提示しなければならないということである。

 

海洋環境の持続可能な開発に必要な情報の普及には、表8:1に示されている初段階がある。関連する道具として、データベース、ディレクトリ、地理情報システム、意思決定支援システムなどがある。データソースは、水文学的・海洋地理学的調査、地質学的調査、環境モニタリング、統計調査、人口センサス、遠隔センサーなど多岐にわたる。ベースラインの構築および歴史的データの入手も必須である。作業全体は大半の発展途上国の能力を越えており、こうしたデータの入手可能性はオプションの明確化と意思決定に不可欠である。ネットワークは特定のイシュー(沿岸侵食、マングローブや珊瑚礁など)や特定の管理戦略(地理情報システム、海洋公園、環境に及ぶ影響に関する文書など)の必要とするデータ・情報に対処する際に特に重要である。(14)

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地球海洋観察システム(15)

 

地球海洋観察システム(GOOS)は、世界の海洋の状態を監視し、モデル化し、予測するための主要な存在となっている。GOOSはグローバルな構想であり、IOC、WMO、国連環境計画(UNEP)、国際科学統一会議(ICSU)の支援を受けている。これには全ての沿岸諸国が参加することが奨励されており、先進国・発展途上国間のパートナーシップが求められている。GOOSは過去2年間で設立され、参加国から多額の資金を得てきた複数の海洋科学研究計画の統合体である。(16)

 

GOOSは気象学と海洋地理学の密接な結びつきを重視している。なぜなら、前者は大気と関連現象を扱い、後者は水の動き、気温、塩分濃度など海洋に関連する研究だからである。海洋の状態の監視は短期的にも長期的にも重要である。なぜなら、海洋の状態は地域の気象および気候に影響を及ぼすからであり、そして長期的には気象および大気変動の予測能力と海面上昇のインプリケーションを向上する必要があるからである。

 

世界の海洋のデータ収集による海洋環境監視には長い歴史がある。「しかし、近年は汚染に対する規制と管理手段の基となるデータの必要性が高まっていることに対応するためも

 

 

 

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