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の要素を含むと見なされている。

 

アジェンダ21の第37章は引き続き次のように記している。

 

技術協力は、技術移転やノウハウにおける協力など、個人および集団の能力や技能を開発あるいは強化するための広範な活動の全体を含むものである。(9)

 

技術協力には、アジェンダ21のような単なる文言上の奨励を越え、総合的管理と持続可能な開発によって発展途上国を支援する実践的な手段の明確化と実行への移行を含まれている。技術協力のメリットは、世界レベルで海洋管理が向上することにより、援助を受ける側の発展途上国だけでなく、国際社会全体にとっても生じるのである。

 

総合的なデータベースの構築と現行のデータ収集は、国家が海洋・沿岸水域の効果的な開発と管理を行うための重要な要素である。こうした作業は地域的協力によって促進できるが、発展途上国の能力にはこの点に関して限界があり、既存のプログラムは発展途上国の技能と能力に大きく依存する(例えば、国際海洋地理データ交換、あるいはIODE計画)。

 

データ・情報収集能力を育成し、関連する計画により積極的に参加する強いインセンティブは、全ての国家が持っている。一部の国家は、熱帯嵐、洪水、津波、潜在的な気候変動、長期的な海面上昇などの気象・気候変動に対して特に脆弱である。こうした現象に対処する能力は、必要な研究やデータ収集に参加することで著しく向上できる。さらに、入手した情報は資源利用や観光開発などの経済活動にとって重要である。

 

1982年国連海洋法条約の第3部は、海洋科学研究の促進および同研究における協力を諸国家に要求している。国家間の情報の普及と技術協力は同条約244項2節に記されている。

 

…いずれの国も、単独で並びに他の国及び権限ある国際機関と協力して、科学的な資料及び情報の交流並びに、海洋の科学的調査から得られた知識の移転(特に発展途上国に対する移転)を積極的に促進するものとし、また、特に技術及び科学の分野における開発途上国の要因の適切な教育及び訓練を提供するための計画を通じて、開発途上国の自主的な海洋の科学的調査能力の強化を積極的に促進する。(10)

 

世界の海洋の研究・監視プログラムの大半は、政府間海洋地理委員会(IOC)および世界気象機関(WMO)の下で行なわれている。

 

地域レベルについては、アジェンダ21は海洋データ交換に関する協力を奨励している。

 

国家は既存のサブ地域および地域的枠組みを可能なかぎり利用し、海洋環境の知識を育成し、情報を交換し、システマティックな観察と評価を行い、科学者、設備、装備を最も効果的に利用しなければならない。(11)

 

地域的な組織は、海洋地域の管理の多大なメリットをもたらす。例えば、地域にとって必要であり、地域の条件に合致した「地元の知識」を組み合わせることによりアイデアを改善できる、域外の海洋利用者や援助国に対して交渉立場を強化できる、総合的な地域的海洋管理を促進する地域の分野横断的な組織が形成される、などがある。(12)

 

海洋情報学

 

 

 

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