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当該論文の位置付けと要旨を下記に掲載します。論文の全訳はこのあとの頁にございます。

 

安全保障と海洋安全協力の前提

海洋情報とデータ交換

サム・ベートマン(豪ウーランゴン大学海洋研究所所長)

 

本論文の要旨(訳者)

 

本稿は近年の情報技術革新によって発展している海洋情報・データ交換の実態を、アジア太平洋地域に焦点を当てて簡潔に分析したものである。

 

本稿は、海洋情報・データの交換を安全保障信頼醸成措置および海洋安全協力の前提として位置づけ、主要概念として持続可能な開発、技術協力と能力育成、海洋情報学、地球海洋観察システムなどを挙げ、新たな情報技術の活用および先進諸国から発展途上国への技術移転を通じた技術協力・能力育成が、沿岸地域の持続可能な開発にとって必要不可欠であることを強調している。さらに、海洋地理が複雑で海上交通が活発であるアジア太平洋地域の海洋安全には、海洋情報・データ交換が重要な役割を担うことを、インドネシアおよびオーストラリアの海洋情報データベースの実例を通して示している。最後に、本稿はアジア太平洋地域の海洋情報・データ交換にとっての国際的協力の必要性を再度強調するとともに、克服すべき問題として、情報技術の急速な進歩への対応、各国家の使用する技術のレベルの格差、国内・国際的なレベルでの政府機関の間の調整の困難、海洋情報・データの二面性(商用価値と軍事価値)から生じる問題、海洋管轄権・境界画定問題が国家間協力へ与える悪影響、海洋環境・海洋データの重要性に関する一般的認識の欠如などを指摘し、専門家の今後の努力を奨励している。

 

 

 

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