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税収分配方式には中央政府と地方政府とが文字どおり共同で課税権を設定し、その税収を両者でシェアする共同税方式と、中央政府と地方政府のいずれか一方が課税権を持ち、税収をシェアする移譲方式とがある。このうち共同方式では、課税について中央政府と地方政府とが共同で意志決定する機関の存在が必要となる。

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これに対して移譲方式とは、大きく二つに分類することができる。一つは、中央政府が課税権を持ち、その税収の一部または全部を地方政府に移譲する分与方式である。もう一つは地方政府が課税権を持ち、その税収の一部または全部を中央政府に移譲する分賦方式である。

これまで地方税といえば、独立方式つまり独立税が理想と想定されてきた。それは独立税であれば、地方政府に自己決定権があると考えられてきたからである。しかし、独立税であっても課税ベースも税率も中央政府が決定するように、中央政府が課税ベースに課税否認(tax denial)、税率に課税制限(tax restrict)を加えれば、独立税といえども地方政府に自己決定権があるとはいえない。

確かに、重複方式の付加税では課税ベースは中央政府が決定してしまう。しかし、付加税でも税率に制限が加えられていなければ、独立税で課税ベースも税率も中央政府が決定してしまう場合に比べれば、地方政府の自己決定権の範囲は大きいといわざるをえない。

共同方式についても課税権を地方政府と中央政府とが共同で持っているため、課税ベースも税率も統制された独立税よりも、地方政府の自己決定権が大きいことはいうまでもない。分賦方式についても地方政府に付与されている決定権限によって、課税ベースも税率も統制された独立税よりも、地方政府の自己決定権という視点からみて、望ましいケースは考えられる。

 

 

 

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