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? 行政サービスによる受益と税負担との関係

税は行政サービスの財源であることに鑑みると、行政サービスを下げるから税負担を下げ、行政サービスを上げるから税負担を上げるという受益と負担の対応関係が、より明確に表れるようにすべきではないかとう議論がある。

現行では、通常よるべき税率として標準税率が定められており、財政上の特別の必要があると認められる場合はこれによることを要しないこととされているが(地方税法第1条第1項第5号)、他方で、普通税の税率がいずれも標準税率以上である地方公共団体において公共施設又は公用施設の建設等の財源とする場合に地方債の発行が認められている(地方財政法第5条第1項)。このため、地方公共団体が、行政サービスと税負担との関係を踏まえ、地域の実情に応じて税率を決定しようとする場合には、標準税率を下回る税率を採用することの是非をめぐる議論が生じうる。この点について地方分権推進委員会第2次勧告においては、「普通税の税率が標準税率未満の地方公共団体については、従来、公共施設・公用施設の建設等の財源に充てるための地方債の発行が禁止されてきたが、この規制を緩和し、?(注:下記参照)と同様の仕組みを導入することとする。」とされている。

なお、行政サービスによる受益と税負担の問題を考えるに当たっては、地方税制のみならず、地方税と国庫補助金、地方交付税との関係、地方債制度のあり方などについて、幅広い検討を加えることが必要である。

 

(参考)地方分権推進委員会第2次勧告(平成9年7月8日)(抄)

 

第4章 国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保

 

V 地方税源の充実確保

3 地方債

(1) 地方債許可制度については、地方公共団体の自主性をより高める観点に立って廃止し、地方債の円滑な発行の確保、地方財源の保障、地方財政の健全性の確保等を図る観点から、地方公共団体は国又は都道府県と事前協議を行うこととする。これに伴い、

? 合意が調った地方債についてのみ、元利償還金について地方財政計画や地坊交付税制度を通じた財源措置が行われることになり、また、政府資金等公的資金が充当されることになる。

これに関連して地方債計画について、法的に位置付けることを検討する。

? 国が事前協議に対し合意するに当たり、地方財政を担当する部局が政府資金の配分を担当する部局と協議を行うという従来の仕組みについては、これを維持しつつ事務手続の一層の簡素化を図る。

 

 

 

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