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オ 地方環境税

環境汚染抑制のための経済的手段及び環境対策のための財源調達手段として、北欧諸国を中心に炭素税、エネルギー課税等が導入されている。我が国でも、今後、地球環境の保全が大きな政策課題とされており、その一環として、「環境税」が議論されている。

環境税は、財・サービスの環境汚染による外部費用を価格に上乗せすることによって、社会厚生上最も効率的な資源配分を実現しようとする、いわゆるピグー税の考え方に基づくものであるが、このように市場ルールを通じて環境汚染物質の排出抑制をねらう政策手段は全国的視点から制度を構築する必要があること等を理由として、その課税主体を国とする考え方がある。

しかしながら、当委員会でも平成7年度の研究テーマとして検討したとおり(「地球環境問題に対する地方税制のあり方に関する調査研究」)、地方公共団体は環境政策全般において極めて大きな役割を果たしていること(平成7年度の環境対策経費:国 2.6兆円、地方5.7兆円)、地球環境の保全等の環境政策において地方公共団体は今後益々大きな役割を果たしていくことが期待されていること、現行の地方税においても軽油引取税や自動車税等のエネルギー・自動車関係税が課されいること、地方の税財源を充実確保する観点からは地方独立税としての環境税の方が望ましいこと等から、環境税については、地方税の観点からの議論が重要となってくるものと考える。

既に平成10年度税制改正において、ハイブリッド自動車に対する自動車取得税の税率を軽減するなど、地球環境に配慮した地方税制上の措置が講じられているところであるが、今後、環境税について、環境問題に対する総合的な対応の一環として、国内外の議論を注視しつつ、地方税の立場から更に調査・研究を進めていく必要がある。

 

(3) 地方税体系への影禅及び地方財政制度との関係

 

? 税源配分の見直しに当たっては、個別の税目の見直しだけではなく、地方税体系全体に対しどのような影響を及ぼすのかを考察することが必要である。

また、地方税制は、地方財政制度の一環として位置づけられるので、これらの税制の見直しは、国庫補助金や地方交付税、地方債制度のあり方との関係等、地方財政全体との関係についても併せて検討することが必要である。

 

 

 

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