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も所得税の納税義務はないような低所得者届(いわゆる失格者のレベル)についてはこれまでより高い税率が適用され、負担増となるので、何らかの配慮を行うことを検討する必要がある。さらに、税率はある程度の累進構造をとっている方が税負担の垂直的公平を求める観点から適当ではないか、また比例税率化すると税収の伸長性に乏しくなるのではないかという議論がある。

いずれにせよ、個人住民税所得割の税率構造のあり方については、地方税の充実の観点はもとより、税負担の公平等の観点を踏まえ検討していくことが必要である。

 

イ 法人事業税の外形標準課税の導入

事業税が外形基準によって課税されることになれば、事業税の性格が明確になるとともに、税収の安定性を備えた地方税体系が構築される。また、これに伴い、法人課税の表面税率の(調整後)の引き下げや赤字法人に対する課税の適正化にもつながるものと考えられる。

具体的な外形基準については、加算型付加価値などを中心にこれまで検討されてきているところであり、事業の活動量を的確に表しているか等の観点を踏まえ、どのような外形基準がよいか具体的に検討を進める必要がある。

なお、外形標準課税を導入するに際しては、中小法人の取扱いをどうするか、業種ごとの税負担の変動をどう考えるか等の課題があることにも留意する必要がある。

 

ウ 消費税から地方消費税への税源移譲

税収の普遍性、安定性、高齢社会への対応等の観点から、地方消費税の充実も重要な課題である。今後、高齢化等の進展に伴い、地方公共団体は、高齢者保健福祉等の行政需要が益々増大することが見込まれ、そのための財源として、地方消費税は重要である。その場合、地方公共団体の役割の拡充に伴い、地方消費税のウエイトを高める方向で見直しを行うことも検討する必要がある(なお、この点に関連して、第二部の持田委員の論文参照)。

 

エ 固定資産税の安定的確保

市町村の基幹的税目である固定資産税は、税源の普遍性や税収の安定性に富み、市町村税として最もふさわしい税であって、これまでも市町村財政の中で重要な役割を果たしており、その安定的確保を図るべきである。また、固定資産税については、平成9年度より、負担水準の均衡化を図る措置が講じられている。なお、平成12年度以降の税負担については同年度の評価替えの動向及び負担水準の状況や市町村財政の状況等を踏まえた上さらに負担の均衡化・適正化を進める措置を講じることとされている。

 

 

 

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