名古屋市における地球環境問題への取り組み
名古屋市総務局
企画課長 吉井信雄
は じ め に
近年、環境に関する様々な都市問題は廃棄物処理の問題をはじめ、その多くが市政の重要課題として位置付けられるようになってきた。ここでは、そのうち地球環境に関する諸問題について?本市の地球環境問題に対する基本的認識?本市の取り組み事例?今後の課題と展望について述べてみたい。
1 地球環境問題に対する基本的認識
地球環境問題については、いろいろな角度から議論することが可能であるが、ここでは次の3点について指摘をしておきたい。
まず、最初の点は、?地球環境問題はその性質上原因となる物質を視認することが困難で、通常の状態では影響が直ちに現われにくく、一定の年月を経た後、その影響が広範囲かつ複雑な形で現われる。しかも、一度現われると元に戻すことが極めて困難である(不可逆性をもつ)ということである。そして、第2点目は、?その対策を考える場合、地球的規模で考えざるを得ず、発展途上国と先進国、あるいは先進国同士の間でも利害が反目したり、異なるケースが多いということである。最後の点は、?行政がいくら規制強化をはかり指導しても、また、企業がいくら熱心に自助努力を行っても全面的に問題解決を図ることができず、一人ひとりの市民、国民が問題の重要性を深く認識し、不断の努力を積み重ねない限り、問題は決して解決しないということである。
以上3点のうち、地方公共団体として、特に強く認識しなければならないのが3番目の視点である。結核やチフスなどの伝染病が蔓延した時代には、行政が防疫という形で規制に乗り出せば問題はほぼ解決した。高度経済成長期に問題が顕在化した水俣病、イタイイタイ病あるいは四日市喘息など、いわゆる公害病は企業が改善に向けた努力を行い、さらに行政が条例あるいは法律で基準を定め、行政指導を行うことで、事態は改善されてきた。
しかし、今日の地球環境問題は行政、企業がいくら努力をしても問題を解決することは不可能であり、行政、企業と並んで市民がこれまでに比べて飛躍的