日本財団 図書館


に大きな役割をもつようになってきた。市民の意識改革、市民の価値観の転換、そして、それに基づくライフスタイルの転換なくして、今日の地球環境問題は解決できないといっても過言ではない。

したがって、地方公共団体の施策の目標は、いかに市民の意識の変革を実現できるかにかかっているといえよう。とはいえ、問題は市民の側にのみ存するものではない。その意識変革にあたろうとする市の職員内部にもある。市の職員自身、本当にこの問題を切実に感じ、早急に取り組まなければならない喫緊の課題として認識しているであろうか。その答は否定的にならざるを得ない。なぜなら、地球環境問題は一人ひとりにとって頭では十分理解しているつもりでも、現在の生活水準を切り下げてまでも積極的に行動を起こすほど、切実な問題ではないからである。

本市が平成5年度に実施した地球環境問題に関するアンケート調査においても、市民の9割以上が地球環境問題に関心を持ち、今後、問題は一層深刻になると認識している市民は83.8%にも及ぶという結果が出ている。また、66.5%の人が、今の生活を多少変えてでも地球環境保全を行うべきと回答し、地球環境保全を生活より優先しようとする人が66.5%にも及んでいる。自ら何らかの行動を起こすかどうかという問いに対しても、71.5%の人が自分にできるところから行動すると答えており、市民の環境問題に対する意識と関心の高さがうかがえる。

しかも、環境税の導入についてさえ、男性の約80%が賛成と答えているという結果になっている。こういった結果をみると環境の問題はごみ問題でもそうだが、総論賛成、各論は別という典型事例のような気もしてくる。もし、本当にアンケート調査に示されたような高い意識と関心をもって実際の行動が起こされていたら、事態はもう少し改善されているはずである。しかし、現実はますます悪化の一途をたどっていることは否定すべくもない。

この頭で分かっていることと、実際の行動とのギャップこそが、この問題の難しさを示しているといえよう。それでも問題が深刻でなければ支障は少ない。

しかし、この地球環境問題は、二酸化炭素、フロンなどの温室効果ガスによる地球温暖化問題、土壌流失問題、ダイオキシンなど化学物質による環境ホルモンの問題など、どれを取っても、私たち人類にとっては致命的とも言える深刻な問題を引き起こしつつある。

こういった特徴をもつ今日の地球環境問題の解決には、基本的には市民の理

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION