4 循環型社会の確立に向けて
(1)リサイクルのシステム化
最近,市場価格の下落による回収古紙の余剰が社会問題となった。これは,リサイクルにおける経済システム確立の必要性を顕在化させた好例と言える。経済システムとして確立させるためには,リサイクル製品の多様化・低廉化に向けた技術開発,定量・定質な資源物の供給やリサイクル製品の普及拡大など取り組むべき課題は多い。
しかし,余剰古紙問題一つ捉えても,回収停滞によるごみ排出量,不法投棄の増加や資源集団回収に代表される地域活動の低下など派生する弊害は大きく,今後さらに他の資源物に波及する危険性があることを認識する必要がある。
経済システムが自治体を越えた広域レベルで機能していることを考えれば,早期確立に向けた国の取組への期待は高まるものの,そのためには産業立地や技術開発に対する支援,市民啓発やグリーン調達などの率先行動によるリサイクル製品の普及拡大など自治体レベルでの取組が重要であり,早期確立への原動力と成りうるのではなかろうか。
(2)生活意識の変革
資源物の分別排出,生ごみのコンポストや節電・節水など,環境に配慮した生活にはこまめな努力が必要となる。また,環境への取組の効果が日常生活の中で実感しずらいことが,生活意識の変革の妨げになっていると思われる。
しかし,今日われわれが直面している環境問題は,快適さ・豊かさを優先し,環境への配慮を欠いた生活意識がもたらした結果であることを理解すれば,未来世代への責務として,生活意識の変革の必要性が見えてくるのではなかろうか。