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って農業が営みやすい反面、市街化区域とくらべ不動産経営による家計の補完などの面で不利であり、生産物の価格の低迷など農業経営の魅力の低下とあいまって農業後継者が得にくいという状況にある。また、休閑地や耕作放棄地を合わせた不耕作地は、残土置き場、駐車場、資材置き場として違法転用される場合も多く、周辺環境悪化に伴うトラブルも発生している。これらは、都市部にある農業振興地域の現実の一端を示すものかもしれない。

(2)「川崎市農業振興計画」

農のある風景を都市の中で位置づけたい。だが、上を耕す人々の存在を離れて、都市農業を語ることはできない。後藤勇氏が「自治体学研究第73号」で述べられているとおり、「農地は農家が所有する農業生産の場であり、農業生産は農家の生業である。これらの前提にたったうえで、農業が果たしている環境を守る機能が話題にされるべきである。あくまでも、緑や環境保全は農業のもたらすありがたい副産物としてとらえるべきもの」だと恩う。「川崎市農業振興計画」は、都市農業の多面的機能として、?市民への農畜産物供給機能、?環境機能、?教育文化機能をあげている。当該計画は、都市農業の多面性に立ち、「都市と調和するフレッシュかわさき農業」を基本目標とし、?情報力と多様性に立脚した農業づくり、?都市農業のシステムづくり、?市民との多様な結びつきを基本方向とする。

都市農業を考える上で、いくつかの視点を提示したい。第一は、「地域との関係性」である。市街化調整区域である川崎市の北西部地域をどう位置づけるかが一つの課題となる。第二は、市民・企業との交流である。

以下、私案の提示を行っていく。

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