日本財団 図書館


による土地利用の適切な誘導のほか、「杜の都環境プラン」による環境配慮指針の提示、平成9年度中に策定する「新基本計画」による市街地の外延的拡大の抑制を基本とした新しい都市のグランドデザインの構築に加え、平成10年度を目標に「仙台市環境影響評価条例」の制定を進めている。

(4)水環境保全計画の策定と推進

水環境の保全に向けた計画的事業推進のため、平成8年度の計画策定基礎調査を踏まえ、平成10年度に「水環境保全計画」を策定する予定である。併せて、市民の自主参加による河川改善活動として、身近な水辺としての河川環境の復元事業を実施し、河川マップづくりや現地見学会等のワークショップ活動、雨水浸透・雨水利用による水量・水質回復の試み、情報誌の発行等を行っている。

(5)率先行動と環境マネジメント

行政は、公共事業など大規模な事業者としての側面を有すると同時に、大量に資源やエネルギーを使う消費者でもあるという観点から、電気自動車やアイドリングストップバスの導入、庁内の節電、再生紙の使用、古紙等の分別・リサイクルの推進等、環境に配慮した取り組みを率先して一行ってきたが、これらの取り組みをより計画的で実効あるものとするために、環境マネジメントシステムについて検討中である。

(6)地球温暖化対策の推進

平成4年6月に「地球環境保全に関する取組方針」を決定し、各種の対策を行ってきたが、中でも地球温暖化問題は、人類の生存基盤に大きな影響を与える重要な問題として位置づけており、平成7年9月に二酸化炭素の排出抑制と吸収源対策を柱に据え、市、市民、事業者の相互協力と行動指針を掲げた「仙台市地球温暖化対策推進計画」を策定した。平成8年3月には、事業者や関係行政機関との情報交換や連携・協力による計画の推進を図るため「地球温暖化対策推進連絡会議」を発足したほか、「エネルギーの有効利用に関する調査」を実施し、本市の地域特性を踏まえた新エネルギー導入等について、具体的なケーススタディを中心に検討を行った。

(7)国際協力への取り組み

地球環境問題の解決のためには、国際的な連携と協力が不可欠である。本市は、平成7年から国際環境自治体協議会に加盟し、加盟自治体の先進的取り組みや「ローカルアジェンダ21」「気候変動都市キャンペーン」をはじめとする世界的プロジェクトに関する情報交換や国際協力を行ってきている。また、平成9年1月には「20%クラブ」に加入し、持続可能な開発を踏まえた本市の施策への取り組みを示したほか、11月には地球環境問題への取り組みを通して世界へ貢献する「地球環境仙台行動会議」を設立した。

さらに、平成8年には「第5回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」「第3回アジアこども会議」を、平成9年6月にはヘルシンキ市と環境都市セミナーを開催するなど、環境面での国際交流を進めている。

 

5 終わりに〜地球環境時代を先導する悠久の杜の都をめざして

先ごろ開催された温暖化防止京都会議(気候変動枠組み条約第3回締約国会議)では、 200を超えるNGOが活動したということである。日本においても、地球環境問題に市民レベルで自発的に取り組む動きが活発化しつつある。

本市では、平成10年度から22年度までの長期計画として、平成9年度中に「仙台市基本計画」を策定することとしているが、先に決定した「仙台市基本構想」において、市民主体の創造的な都市づくりを基調に、様々な変化を乗り越え、将来にわたって市民が希望を抱ける仙台を創造していくとしている。まさに環境行政は、次に到来する時代状況を的確にとらえて、未来世代のための都市づくりの観点から取り組んでいかなければならない。法や条例による措置や誘導という、これまでの行政だけという狭い範囲の対応では、新たな環境課題に対応する都市の枠組みの創出は不可能である。都市を構成する市民、企業、行政の協働によって、地球環境保全の観点を強めながら、21世紀に「の都・仙台」の環境を引き継ぎ、創造していくことが強く求められる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION