定の保護措置が講じられており、全市の緑被率は76.8%となっている。しかし、市街地の外延的な拡大は、この10年間に約2,900ヘクタールの森林・田畑を市街地に変え、緑のストックを急速に減らしている。
区域別にみると、県立自然公園等が大きな面積を占める都市計画区域外や里山といわれる樹林地や農耕地が広がる市街化調整区域では、緑被率が極めて高いが、市街化区域の緑被率は3割を下回る状況となっている。しかも、その大半が本市の西部地区にまとまっているという構造である。
また、河川の水質は、環境基準に照らして良好であるが、いくつかの都市河川では、水源地域や流域の開発による流量の低下傾向が見られる。また、都市化の進展に伴う、森林、農地、緑地の減少、排水路や下水道の整備、市街地表面のコンクリート・アスファルト化等により、環境の持つ雨水浸透機能や保水機能が低下し、降雨時の河川下流域での急激な水かさの増加や市街地における内水型洪水の発生の危険性が高まっている。さらに、通常時の河川水量の減少や流域の保水能力の低下による自然生態系への影響が問題となりつつある。
(2)大気環境の状況と自動車公害の深刻化
本市の大気環境は、市内17の大気測定局における平成8年度の測定結果をみる限りでは良好な状況にあるといえる。しかし、郊外への住宅地の拡大等を背景に、乗用車と軽自動車を中心に自動車保有台数が著しく増加し、特に、都心部を中心とした慢性的な自動車交通渋滞により、幹線道路沿道では、浮遊粒子状物質が環境基準を達成できない地点も出始めている。自動車騒音についても、一般地域では環境基準達成率が85%であるのに対し、幹線道路沿道では13%となっている。今後、本市の都市機能の広域化を背景に、市外からの流入交通量のさらなる増加が見込まれ、大気汚染や自動車騒音の深刻化が懸念される。
(3)廃棄物を取り巻く状況
本市では、市民の協力のもとにごみの減量化・資源化にいち早く取り組み、平成8年度の資源化率は16.2%と、国の平成12年度の資源化目標値である15%を平成6年度時点で既に達成している。また、処理施設についても、可燃物の全量焼却体制のもと、焼却施設、粗大ごみ処理施設、埋立処分場の適正な整備を進め、分別の種別に見合った適正処理を図っている。
しかし、産業経済活動の高度な発展や市民のライフスタイルの変化などに伴い、本市においてもごみの総排出量は年々増加を続け、市民一人当たりの排出量も増加傾向にある。事業ごみは近年減少傾向にあるものの、生活ごみは増加