「仙台市における環境行政」の現状と課題
仙台市企画局企画課長 佐藤 信夫
1 はじめに〜「杜の都」仙台のあゆみ
「杜の都」という呼び名は、豊かな緑等に象徴される本市の良好な環境を表現する言葉として、市民に愛され、誇りを持って受け継がれてきたものである。
昭和30年代には、全国的に大気汚染や水質汚濁の問題が拡大したが、本市では、全国に先駆けて昭和37年に「健康都市」を宣言し、昭和46年には「仙台市公害防止条例」を制定するなど、公害の未然防止に積極的に取り組んできた。その後、昭和48年に「杜の都の環境をつくる条例」、翌49年に「広瀬川の清流を守る条例」を制定し、藩政時代から受け継がれてきた「杜の都」の自然環境を愛し、残そうとする市民風土に支えられながら、恵まれた都市環境の保全に努めてきた。「スパイクタイヤ粉じんの防止に関する法律」の制定等に貢献し、その全廃を達成した「脱スパイクタイヤ運動」は、市民と一体となって取り組んだ一例である。
さらに、景観を中心とした都市アメニティの向上に対するニーズの高まりに対応するため、平成7年には「杜の都の風土をはぐくむ景観条例」を制定し、豊かな環境に基づく景観形成を目指した取り組みを進めている。また、環境への負担の少ない施策の実施や地球環境への先導的な取り組みが求められる中で、平成8年には「仙台市環境基本条例」を制定した。条例では、健康で安全かつ快適な生活を営むことのできる恵み豊かな環境を享受する権利、いわゆる「環境権」を明記し、地球環境保全をも視野においた環境の保全と創造についての市、市民、事業者の責務や施策の基本方針を明らかにして、環境保全を都市の重要な課題と位置づけて取り組みを進めている。
2 環境の状況と市民意識
(1)緑と水の状況
本市の緑地構造は、奥羽山脈から延びる5つの丘陵地、3つの河川、海浜緑地、8大河川流域の農地、市街地内の樹林地・都市公園・寺社林等から構成されている。森林は市域面積の約6割を占め、その内の約7割は条例等により一