8 総合環境アセスメント
東京都は、昭和55年に制定した環境影響評価条例に基づく環境アセスメント制度の運用により、個別事業の実施段階における環境影響評価を実施しており、自然環境の破壊や環境の悪化を予防するなど一定の役割を果たしてきた。しかし、現行の環境影響評価制度は、事業がかなり具体化した実施段階での環境影響評価であるため、計画の見直しが弾力的には行えないことや、実施時期の異なる複数の事業による複合的・累積的な環境への影響に必ずしも十分に対応できないという課題がある。
そこで、これらの課題に対応するため、計画等の立案のできるだけ早い段階から環境に配慮するとともに、広域的な開発計画等における複合的・累積的な環境影響に適切に対応することを目的として、新たに総合環境アセスメント制度を導入することとした。当面、都の立案する計画等を対象に平成10年度から試行を実施し、その成果を踏まえて、平成12年度を目途に都の計画等を対象に本格導入を図る。
9 今後の展望
昨年12月に京都で開催された気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議(COP3)では、各国のC02の削減目標が示されたが、都では、現在地球環境保全アクションプランの策定に取り組んでおり、その中でC02の削減目標値を設定しその実現を図っていく。また、平成10年5月には、国際連合と共催でエコ・パートナーシップ東京会議を開催し、世界の主だった都市の代表やNPOなどとともに、循環型社会づくりに向けた発表や意見交換を行う予定である。
現在、東京都では、循環型社会の形成を都の最重要課題の一つと位置づけ、平成9年5月に知事を本部長とする循環型社会づくり推進本部を設置し、全庁を挙げて施策に取り組んでいるところである。ここでいう循環型社会とは、ア)資源の循環利用を進める社会、イ)将来世代のため資源や都市空間を大切にする社会、ウ)排出物は環境への負担を最小にして自然のサイクルに戻す社会と位置づけているが、このような社会を築いていくには、都民と事業者と行政等が連携・協力していく必要がある。このため、昨12月には、公募による都民、環境学習リーダー、環境NGO、消費者団体、事業者、事業者団体、行政(国、都、区市町村)等から構成される環境パートナーシップ東京会議を発足させた。また、平成10年度には循環型社会づくりに向けた行動計画を策定することとしており、中長期の施策を示して、より一層の施策への取組みを推進していく。