(3)地球環境問題と都市・生活型公害への対応(1990年代)
平成4年には、地球サミットがブラジルで開催されたが、都においてもこれに対応して、地球環境問題や資源・エネルギー問題に対処するため環境管理計画を改定した。また、平成5年の環境基本法の制定を受けて、平成6年に環境基本条例を制定し、都市・生活型公害や地球環境問題等にも積極的に取り組むとともに、これに基づき、平成9年3月には環境基本計画を策定した。
こうした取組みの結果、環境問題は大幅に改善されてきたが、なお残されている課題や新たな顕在化した課題が存在する。
(1)都市・生活型公害
二酸化硫黄や一酸化炭素などによる大気汚染は改善されたが、自動車交通量の増大などによる窒素酸化物による汚染の改善は遅れている。また、都内の河川の水質も工場・事業場等の排水規制や下水道の整備などにより改善されてきたが、閉鎖性水域である東京湾は流域から流入する生活排水などによる窒素・リンなどで慢性的な富栄養化状態にある。その他、騒音・振動、ダイオキシン類など生活環境問題は依然深刻である。
(2)地球環境の保全
旺盛な都市活動により、地球を取り巻く大気中の二酸化炭素、フロン等の温室効果ガス濃度が増加し、人類社会や地球の生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されている。大量生産・大量消費・大量廃棄というスタイルを見直し、資源の循環利用やエネルギーの有効利用を図り、環境への負荷の少ない循環型社会をつくりあげることは、人類社会が持続的に発展を継続していけるかどうかの鍵をにぎる課題である。特に、資源やエネルギーの大消費地である東京にとって、循環型社会の形成は責務でもある。
2 自動車公害対策
都内においては、窒素酸化物や浮遊粒子状物質等の大気汚染物質は、工場等からも排出されているが、その多くが自動車から排出されている。
自動車は、事業活動や都民生活において広く利用されていることから、排出ガス低減対策については、都、区市町村、事業者、都民等のあらゆる主体による取組みが必要である。