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第二部各論

 

東京都における環境行政の現状と課題

東京都政策報道室計画部副参事(計画担当)

遠藤 正宏

 

1 都の環境行政への取組みと課題

東京は、人口や経済、財政いずれも右肩上がりの時代が終わり、高齢少子化が進行するなど成熟社会を迎えようとしている。こうした時代にあっては、人びとの「生活」をあらためて見つめ、一人ひとりを大切にした政策を展開していくことが求められる。

こうした時代の変化を踏まえ、東京都では、昨年2月に策定した生活都市東京構想(計画期間:平成8〜17年度。以下「基本構想」という。)及び11月に策定した生活都市東京の創造 重点計画(計画期間:平成10〜12年度。以下「重点計画」という。)に基づき、施策の推進にあたっているところである。

以下、環境行政の現状と課題を述べるにあたり、これまでの環境行政への取組みについて概括しておく。

(1)公害防止と自然保護(1970年代)

東京都においては、昭和30年代から40年代にかけての高度成長時代に公害が激化したが、昭和44年に公害防止条例を制定するなど公害防止対策を講じることによって、二酸化硫黄を中心とした大気汚染や河川の汚濁は改善されてきた。また、昭和47年には、東京における自然の保護と回復に関する条例を制定し、一定の環境負荷の大きい行為の制限や保全地域の指定などを行い、都市緑化、公園等の緑の保全に努めた結果、それまで大幅に減少していた東京の緑被率の減少傾向は弱まってきた。

(2)環境悪化の未然防止と自然空間の創出(1980年代)

環境問題の解決のためには、公害の除去といった事後的な対策では不十分であり、環境悪化を未然に防ぐ必要があるとの認識のもとに、昭和55年に環境影響評価条例を制定し、大規模な開発事業の実施による環境影響の未然防止を図ることとした。また、昭和62年には環境管理計画を策定し、「うるおい」や「やすらぎ」などの精神的な豊かさの実現の要請にも応えて、自然空間の創出に努めることとした。

 

 

 

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