7. 住民基本台帳データの効果的な利用方法
地方公共団体で利用されている地図として最も多くの部門で利用されているのが、市販されている「住宅地図」である。各係単位で複数冊が利用されている。
●住宅地図の利用方法としては次のような内容である。
・市民からの問い合わせ等に対応するために、あるいは業務の中で対象市民の居住位置の検索、案内に利用
・調査等で必要な図面の作成
・業務データの位置を記入して簡易な台帳図として運用
●「住宅地図」は利用上は、次のような問題がある。
・位置の検索が時間が掛かる。
・住宅地図の改定が頻繁に行われないため、記載されている情報が古い場合がある。
・市民からの問い合わせ用、業務使用用等の何冊もの「住宅地図」が必要。
・必要な範囲を印刷するのに、何ページかをコピーし切り張りを行なわなければならない。
・「住宅地図」が更新された場合に業務データを転記する必要があり、その際に間違いが生じる。
・範囲を定めた業務データの集計や検索が困難である。
●以上のような問題点がありながら、利用されている背景としては「住宅地図」には次のような特徴があるためである。
・建物名称、表札名称、屋号、住居表示、地番等の案内情報が記入されており、位置の確認等が非常に容易である。
・特に、表札情報は対象となる市民の住所を確認する意味で、非常に有効である。
・案内的な要素を持った地図としては「都市計画図(1/2500)」があるが、地形情報が主体で案内情報が非常に少なく、建物等を確認することは困難である。
・印刷された冊子であるために図面よりは取り扱いが容易である。
住居表示、地番については位置を示すコードとして非常に重要であるが、「住宅地図」においてそれらのコードが網羅的に記入されているわけではない。
むしろ重要なのは表札データである。
地図情報システムにおける「世帯主名」の利用
市民の所在状況を最も的確に把握しているのが「住民基本台帳」である。
住民基本台帳を地図データと一体的に運用することになると、次のような利用方法が考えられる。
●建物図形に、属性としての「世帯主名」を表示することにより、「住宅地図」の表札情報と同等、もしくはそれ以上の有効な案内情報としてして運用することが出来る。