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4. 住民基本台帳データ利用の利点と留意事項

 

前項の、住民基本台帳を利用している各部門に対するヒアリング調査結果から、「住民基本台帳データ利用の利点と課題」を抽出すると次のように整理される。

 

4-1 地理情報システム利用による利点

 

地理情報システムの上で住民基本台帳データを運用することによって

?対象市民の居住している位置を確認することが容易で、訪問等を含む調査業務が行ないやすくなる。

?任意の範囲を設定しての人口・世帯の検索・集計が容易になる。

自治会、行政界(町丁字)単位の定型的な範囲でなく、実際の水害被災範囲や、施設からの距離を設定しての集計や条件検索が容易になる。

?自治会区、学校区等の特定な範囲内に属するか否かの判断が容易になる。

?地図データをテーブルに、関連した業務データの組み合わせた運用が可能になる。

例えば、民生委員の実施する「福祉対象者及び世帯状況調査」と保健センターの「老人医療」、福祉課の「老人介護、保健婦ヘルパーの運用」に係るデータを、関係部門で必要に応じて運用することによる業務の効率化と市民サービスの向上効果は大きい

?空間概念を必要とする検討業務には、位置及び距離、範囲を視覚的に判断することができる。例えば、高齢者福祉で介護に係る活動の、サービス内容とサービス経路順等を勘案した活動支援を効果的に行なうことができる。

 

以上のように

●業務の効率化、高度化に明らかに大きな効果がある。

●また、従来困難だった作業を行なうことができて、新たな施策、具体的な施策に直接結びつく効果もあり、業務内容の質的変化も期待される。

●また、住民基本台帳を扱う業務の多くは市民一人一人に対応する業務で、その業務の効率化や高度化は「市民サービスの向上」に直接、寄与すると考えられる。

地方公共団体の施策実施の仕組みの中には「自治会区」「学校区」等の単位での市民対応、施策対応が多い。

これらの地域区分は必ずしも住所地番の“町丁”“大字小字”と一致するものではなく、住民基本台帳データの運用においてはこれらの地域区分との関連を必要とする場合が多い。

またこれらの地域区分は、固定的なものではなく各種の要因で変化する。

 

「地理情報システム」としての運用に当たっての「自治会区」「学校区」図形データと住民基本台帳データとの一体的な運用は、相互の関係を明確に示すものとして重要な意味を持つと考えられる。

 

 

 

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