日本財団 図書館


合型GISでは、住民の位置的な把握等を目的とし、空間データとの連携利用を図る必要性が高い場合が多いため、住民基本台帳そのものを利用するよりも、利用可能なデータ項目を取り出して別のデータベースとして利用することが、住民基本台帳システム保護の趣旨からも望ましい。具体的には、住所・氏名・性別などが、利用可能なデータ項目として考えられる。

また、個人情報保護の観点から限定されたもの(住所・氏名・性別など)を、利用承認手続き・利用の際の安全保護措置など必要な情報管理措置を規則・要綱等により定めた上で、必要な部署において利用することなど、制度上の担保を設定するとともに、利用の基準やルールを明文化し、個人情報保護への共通認識を庁内において深めていく必要がある。既に、個人情報保護条例を制定している地方公共団体においては、その条例に照らし、住民基本台帳の適正なデータ利用が確保されているものと考えられるが、住民基本台帳データの庁内利用に関して、OECDの8原則や行政管理庁(現総務庁行政管理局)の5原則等を参考に、より具体的で現実に即した内容を、庁内規程などとして明文化していくことが望ましい。

088-1.gif

?統合型GISと住民基本台帳データとの連携方法

連携を実現する方法として、利用可能な範囲で抜粋した住民基本台帳のデータと空間データとのリンクを図る形態が望まれる。

例えば、空間データと連携させる他の行政情報システムのデータ群を、現在の地方公共団体の中で運用されている様々な台帳そのものではなく、その中から一部を取り出したデータ群とすることで、個人情報の適切な保護が図られるとともに、既存のシステムの動作や処理を妨げることなく利用することが可能となる。

 

(?)アドレスマッチングの問題点

住民基本台帳の住所データは、住居表示が実施されている場合は住居表示により、それ以外の場合は地番によることとされている。特に住居表示が実施されていると、土地の地番図上のデータと一致させる作業に困難を伴い、また、家屋の登録上の個人番号とも一致しないのが現状である。

また、住民基本台帳上の居住者が、必ずしも実際にその住所に居住していない場合がある。これは、別に住所を定めた際には転出や転居の届出が義務付けられているが、建替えで短期間別の場所で生活する場合や、短期間の出張の場合など、別に住所を定めた場合でなければ届出を必要としないケースがあり得るからである。

 

(?)アドレスマッチングにおける工夫

このような実態から、住民データと、土地・家屋データとの100%のマッチングは、困難な状況である。世帯を新たなポイントデータとして、土地・家屋に付随しないオブジェクトとして住民を把握しないと、最終的に100%に近づくことは難しい。しかし、新たな費用や、新たなリンク管理主体の設定を回避する上から、既存データを利用していくことが、地方公共団体でリンクを実現する近道となる。

よりマッチング確率の高いリンク手法を使い、可能な限りデータ間を接合し、どうしても接合しない部分については、手作業で対応していく必要がある。いずれの技術的な連携手法を採用しても、マッチングしない手戻り部分は必ず生じるため、その部分を手作業により修正していくことで、マッチング精度をさらに高めていくことが重要となる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION