野中
第4次勧告で、20万人以上の市という区分を設けたということでしたが、それでは人口がそれ以下の市町村には力がないのかと反論したくなります。たとえ1万や2万しか人口がなくても、住民が喜んでその行政に協力してくれる市町村が多数あることを忘れないでほしいと思います。
また、私自身は人口2、3万程度の町であっていいと考えています。なぜなら我々小さな町村というのは、日々顔が見える行政が行えるからです。そこには住民の皆さんとの信頼関係があります。何十万、何百万という人口の市町村では、顔も見えず信頼関係もなく、我関せずという行政が多いのではないでしょうか。こうしたことから人口は20万以上がいいのだという線引きはお断りしたいと思います。
もう一つ、分権委員会の中で論議になっておりませんが、提起をさせていただきたい問題がございます。それは戸籍法の問題でございます。戸籍事務については勧告の中では一言も触れられておりません。ところが戸籍法では戸籍事務については市町村長が処理するとなっておりまして、市町村長個人の印鑑でないと認定できないということになっております。私はこの戸籍制度を改正していただいて、本籍と現住所を一つにしてもらうべきだと考えています。市町村は人が一生の間に1回か2回しか使わない本籍までも管理しているわけですが、戸籍の管理事務については交付税が一銭も入っていないのでありまして、我々は何の財源措置もない仕事をさせられております。この点についてお願いをしておきたいと思います。
もう1点、私は住民の皆さんにご協力願いたいことがございます。それは我々の次の世代がよりスムーズに行政を進められるよう、住民の皆さんに一時期辛抱してもらわなくてはならないということでございます。地方分権が進めば皆が豊かになって、何もかもスムーズに行くような錯覚が広がっておりますが、私はそんなに簡単にはいかないと思います。そうなるには、10年20年という長い年月がかかります。