川島
ありがとうございました。税財源についてかなり突っ込んだ御意見をいただきましたが、これらの点についてパネリストからお答えいただいても、おそらく財源問題に関する先ほどの発言の繰り返しになるのではないかと思いますので、ここはひとまず御意見を伺ったということにさせていただきたいと思います。
ただ森田先生に対しては、違う観点からのいくつかの御質問がございましたのでお答えをお願いしたいと思います。
森田
最初に地方議会のあり方についての問題でございますが、国会議員には身分保障があるのに、地方議員にはないという問題や、あるいはその他国政調査権をはじめとする強い権限があるのに、地方はどうなのだというお話がございました。これは私だけでお答えできることではないと思いますので、もし間違っていましたら、法律を専門にされている小幡先生にもフォローしていただきたいと思います。
きわめて学者的な答えをしますと、国会議員の場合は憲法で規定された地位、身分の保障でありますが、地方議員についてどうするかというのは法律上の問題であります。だから保障しなくてもいいというわけではないのですが、やはり憲法上の保障と比べますと、どうしても差があるように思います。ただ地方議員の場合は、法律の問題ですから、法律でもってそうした身分保障するということは、可能性としては十分考えられることです。
また、分権論議において地方議会が軽視されているのではないかという御意見がございましたが、これまでの日本の地方制度では、議会というものが執行機関と対等な関係に立つ立法機関として認められておらず、制度上もそういう構造になっていたというところがあったと思います。もちろん地方自治体には議会があって、そこが条例を作り、予算を決め、そして執行機関が執行するということなのですが、少なくとも機関委任事務制度の下では、議会が持っている権限というのは、かなり制限されていたといわざるをえないわけです。そういう意味でいいますと、執行機関の知事さんなり、市町村長さんなりが実際に持っていらっしゃるさまざまな権限と比べまして、議会のほうの役割というのは相当制約されていたというところがあろうかと思います。
ただこれに関しましては、今回の改革で実際に法改正が行われますと、議会の役割、権限というのは非常に大きなものになると思われます。自治事務に関しましては、原則として条例の制定ができることになるわけですし、法定受託事務につきましても条例制定権は制限されておりますけれども、それ以外の調査であるとか、監査といった権限はすべて議会が持つことになります。これはいうならば、市町村なり都道府県という自治体の行政全般に関して、なんらかの形で議会が関与しうるということになるわけです。