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国と地方公共団体の関係について、まず最初に議論したわけでありますが、そのあと府県庁がミニ霞ケ関のようになっては困るではないかという意見がございまして、当然、都道府県と市町村の関係も対等・協力の関係であるということを示したわけでございます。従来から本来は対等であるのですが、機関委任事務等の関係で、あたかも上下関係があるかのように位置づけられてきたという状況がありましたので、勧告では、対等・協力の関係であるということを明確にいたしました。

さらに市町村の事務として処理することが適当なものについては、できるだけ市町村に事務委譲していただきたいということも勧告に書いてございます。また、野中町長がおっしゃった財源措置についても触れてございまして、市町村に事務を委譲する場合には、市町村に必要な財源措置を講じなければならないものとするというように明示しております。ただこれも抽象的な文言なので、これをしっかりと具体的に実効性のあるものにしていかなければいけないと考えております。

 

川島

確かに抽象的ではありますが、原則としてはそういうことが決まったわけでございます。市町村の方から伺いますと、国はある程度理解を示してくれているような問題でも、府県が非常に頑なであるというようなことをよく聞くわけですが、例えばデザインの問題にしろ何の問題でも、国に持っていくと「おもしろいではないか」ということで聞き入れてくれるのに、府県は法律の解釈とか運用というものを非常に厳密にやっているというところがあるのではないかという気がします。荒巻知事はこれからの府県と市町村のあり方について、何かお感じになっていらっしゃることがありますでしょうか。

 

荒巻

国に対して府県が対等・協力だというならば、市町村と府県の関係も同じように対等・協力でなければならないと思っております。分権に対する思いについては、市町村によって温度差がかなりあるかもしれませんが、府県から市町村への事務委譲をもっと進めないと、住民の方々には府県と国で権限争いをしているだけだという印象を与えてしまうのではないかと思っております。このため、府から市町村への事務委譲をもっと積極的に進めるよう事務方に指示しているところです。事務委譲を議論する際には、ややこしい仕事は手放して、おいしいところだけ残すということになりがちです。今回は我々も、市町村の意見を十分尊重して、検討したいと思っております。

それから少し脱線するかもしれませんが、府県と市町村の関係や市町村の中でも市と町と村の関係、あるいは政令指定都市と府県の関係などについては、戦後50年ぐらいの間で実情はかなり大きく変わってきているのに、制度自体は全然手がつけられていません。

 

 

 

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