分権委員会において、府県と市町村との関係についても方向付けを明確にしておいていただきたかったというのが偽らない気持ちです。
上下・主従の関係を対等の関係に変えると口では簡単にいえますけれども、50年間もの間、府県の人は偉い人で、国はもう一つ偉い人だというように位置づけられてきた市町村の職員に、明日から対等だと言われても、実際にはそう簡単にいきません。したがって、個々の市町村ごとにやるのではなく、これからは町村会や市長会が府県と権限委譲などについて協議するといった努力をしていかなければならないと思っております。
社会の風潮では、国の役人が一番良く出来て、府県の職員が次によく出来て、市町村が一番下にいるという形になっております。このため、市町村の職員は最大限の努力をして、一番下から府県並みにまでレベルアップしていくことが今後の課題だと思っております。市町村の職員も府県の人には負けないだけの仕事をやっているのだという自負心をそれなりに持っているわけですが、社会が認めてくれませんので、社会に認められるような職員の育成が我々町村に課せられた責務であると考えています。そのかわり、我々も責任を回避するような市町村であってはならないと思っております。
国の行政改革が行われ、権限の委譲が行われれば、それで何もかもが済むような錯覚を起こしがちですが、財源の手当もなしに仕事だけ市町村に押しつけられるというようなことにならないかと不安を感じるわけでございます。やはり市町村への権限の委譲は財源の委譲とあわせて進めていただくようお願いしたいと思います。
川島
通達行政の問題については、勧告ではこれをなくしていこうということにしておりまして、通達の形で国から指示されるということはなくなるとお考えいただいていいのではないかと思います。これまで、府県と市町村のあり方がいろんな形で論議されてきたわけですが、今回については、国と地方の関係をまずどうするかということを優先させ、府県と市町村との関係は後回しにしてきました。ただし、後者についても、勧告の中では、大まかに国と地方のあり方と同じように、上下・主従という関係を改めていくという原則をはっきりさせておりますし、いくつかの具体的な提案も行っております。そういう点について、小幡先生、簡単にご説明いただきたいと思います。
小幡
都道府県と市町村の関係というのは、かなりあとのほうまで難問として残っていたテーマでございますが、第2次勧告の都道府県と市町村の関係というところは、多少抽象的で、読みにくいかもしれませんけれども、都道府県と市町村の事務配分がいかにあるべきか、新しい関係をどう考えるべきかということについて触れてございます。