最近、これまでの決算、予算のあり方を踏襲するのではなく、それぞれの府県、市町村で工夫をしていこうという動きが少しずつ出ているようでございますが、荒巻知事、何かございましたら、一言お願いいたします。
荒巻
野中町長さんの御意見については、私ももっともだと思います。地方団体だけではなくて、国のほうも単年度主義の予算ですが、これだけ世の中が複雑になってきて、支出もいろいろ多様化してきますと、国、地方を問わず、支出の内容なり、性質をはっきり知っておくということは必要だと思います。まず小回りがきく地方団体から、この機会に、そういう思想をとり入れていくということは、非常にいいことだと思います。起債や公債費のお話がありましたけれども、御承知のとおり、同じ借金でも二種類ございます。使い捨ての借金と、道路や下水道のように、今の人も、20年30年先の人も恩恵を受けることに使う借金があります。後者の借金については、次の世代の人にも負担してもらえることから世代間の公平の原則からいって望ましいという面もあるわけです。
地方債はすべて将来にも役立てるというのが前提になっており、地方団体には前者の借金ができないことになっておりますから、国の赤字国債と地方債は基本的に黒なっているわけです。また、国の経済対策などで、公共事業を増やすために、あとで一般財源で埋めあわせるから地方で借金しておいてくれというものがかなりあります。こうした点ははっきりさせておかないといけないと思います。
また、人件費についても、とにかく減らせというのは行き過ぎです。減らすべき人件費は内部管理のための人件費であって、ケースワーカーや学校の先生、看護婦さんなどの人件費は事業費と同じ性質を持っており、そのあたりはきめ細かく議論すべきだと思うのです。
川島
もう一つ野中町長から徴税の問題について問題提起がございました。橋本総理も徴税の一本化ということを提唱されておられますが、国で議論している徴税の一元化は、徴税事務を国に一本化しようというものです。これに対し、野中町長のお考えは、地方がまとめて徴税し、仕事量に応じて国と地方の取り分を定め、地方から国に国のとり分を納めるような仕組みというように受け取っていいのかと思います。小幡先生、この点については、どのような問題があるのでしょうか。
小幡
中国などが地方で税を集めるという方式を取っているという話は聞いております。今、行革会議で議論されておりますのは、大蔵省から分離した国税庁が徴税事務をまとめて行うほうが効率的であるという議論です。