つまり、お互いが何をすべきかということを定め、地方の権限であることについては国が口を差し挟んではならないという原則を貫こうということです。
また、ルールの解釈を巡って、考え方が国と地方で違う場合に、その決着をどこでつけるかということが議論となりました。これについては最後まで難航して、結局、第4次勧告に盛り込みましたが、係争処理機関や国と地方の間の裁判の制度をきちんとしておこうということになりました。野球で言えば、判定がもめた時に、公正中立なアンパイヤに判定を求めるのと同じで、紛争処理の制度をきちんとしようという趣旨です。
このように、一応の制度を整えるという意味での勧告ができたのではないかと考えております。
川島
パネリストの皆さんから諸井さんの話に対する御感想や御意見を伺いました。私の意見も若干含めながら申し上げさせていただければ、勧告の理念については、諸井さんも強調されましたように、まさに画期的で、国と地方を上下・主従の関係から対等・協力の横の関係に置き換えるという大変意義のあるものであろうと思います。ただし、国の関与をどうするかとか、あるいは必置規制をどう整理するか、さらには財源問題を機関委任事務制度の廃止に合わせて、どう考えていくかといったところでは若干問題があったのではないかと思います。
また、地方の行政体制をどう整備していくか、あるいは国と地方の紛争処理をどうやっていくかについては、今のところはあまり問題視する声は出ておりませんけれども、むしろこうした点に問題があるのではないかと私自身は感じております。
その中で、皆さんから出てきた二つばかりの問題を、ここで取り上げたいと思います。一つは財源の問題でありまして、この点については諸井委員長からもいろいろ説明はありましたけれども、やはり依然として不安が残るという御意見がございました。特に知事さん、町長さんという現実に行政を預かっている立場からは心配であるという声がありました。この財源問題についてはもう一度触れておくべきだと思います。
もう一つは、国から地方への分権の次に府県と市町村との間をどうするのか、府県と市町村の関係をどう考えていくかということがございます。この問題は出発点に立った分権という点からいえば、非常に大きな問題かと思います。
先ほど財源については、知事からも不安だというお話がございましたが、もう一度簡単にお話いただければと思います。
荒巻
諸井委員長がいろいろ御苦心のほどを述べておられましたので、追い討ちみたいになってもいけないのですが、現在でも、実際の仕事の3分の2は地方が処理していながら地方税は税収全体の3分の1しかありません。やはり税財源の構造を思い切って抜本的に変えないと、少々いじっても財源問題は解決しないと思います。