道端
規制緩和については、徐々に進んできているというのが実感です。しかし、我々の願っているような根本的な規制緩和というものはできそうにないように思います。
川島
わかりました。ありがとうございました。それでは最後になりましたけれども、森田先生、お願いいたします。
森田
私は地方分権推進委員会の参与ということで、むしろ勧告案の作成に携わってきた立場にある者ですので、川島先生、小幡先生もそうですが、どうしても勧告を弁護するという形で発言せざるをえないということを、あらかじめ申し上げておきます。
どういう経緯で勧告が作られ、また、どういう内容であるかということにつきましては、諸井委員長の御講演でかなり尽きていると思います。私自身それを前提にいたしまして、ではどのように自己評価をしているかということから、まず申し上げたいと思います。もちろん財政の問題もそうですし、あるいは法定受託事務が4割になってしまったという点もそうですが、不満はかなりございます。これはここでいうべきではないのかもしれませんけれども、個人的にはもっとここはこうあるべきではないかという点もないわけではございません。しかしながら全体として見ますと、あの状況の中で様々な条件を勘案すれば、それなりの成果を上げたのではないかというように思っております。
特に機関委任事務制度を廃止するということ自体、当初はそんなことが本当に出来るのかという声も開かれておりましたが、とにかく廃止することをきちんと決めたということについては、十分に評価に値することではないかと思います。
また、議論の進め方にいたしましても、これまでの審議会では美しい理念を掲げ、現実には全然変わらないという状況があったわけですが、今回に関していいますと、膝詰め交渉をいたしまして、相手方の各省庁の合意を得るという、おそらく初めての試みも行いました。したがって、合意を得られなかったことにつきましては、勧告には書かないということにいたしました。従って、ほぼ完全に相手方省庁の了解を得ているわけです。そういう意味でいいますと、その実効性ということに関しましては、これまでとは比較にならないほど高いのではないかと思いますし、そういう意味で今回の勧告の持っている意義は大きいと思っております。
当事者といたしましては、そのような印象を持っているわけですが、マスメディアの批判というのは必ずしもそういうものではございませんで、かなりきびしい批判がありました。