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川島

わかりました。それでは道端さん、お願いいたします。

 

道端

諸井先生のお話にもありましたが、現在の中央集権型行政システムは非常に成功を収め、日本を経済大国に導いたという事実は認めざるをえないわけであります。しかし、現在のように、成熟社会を迎えますと、各自治体が個性あるまちづくりや、住民のニーズに応えて豊かな暮らしを実現したいと思っても、中央集権の現在の体制では残念ながら制約が大きくてできないということになり、そのために分権が必要だということになったわけであります。

阪神大震災の時には国に権限が偏っていたため、いろいろな許可をもらう間に大きな被害を出してしまったということがございました。このように速やかな指揮、命令が必要とされる場合においても、自治体には権限がない場合が多いわけでございます。阪神大震災では、結局は中央の許可、中央の指揮に基づくものの発動が遅かったために、被害が膨大になってしまいました。地方分権が進めば、知事が主となって権限を握ることとなるため、迅速に住民の幸福や、豊かな暮らしを守ることができるようになると思います。つまり、成熟社会にあっては中央集権型行故システムのいろいろなところに制度疲労が見られるようになってしまったのです。

また、幼稚園と保育所はそれぞれよく似た施設であるにもかかわらず、保育所は厚生省、幼稚園は文部省の所管になっています。しかし、住民に身近な行政は地域の実情を熟知している者があたるのが一番よいのであり、そのためには地方分権を進めるしかないのではと思います。

今日は府議会の先生方が多数お見えですが、地方分権を実現しようとすると、少なくとも先生方が積極的になってもらわないとできませんし、住民一人ひとりがこれを理解し、支えていかなかったら、そう簡単にできるものではありません。住民の皆さん方の力を借り、皆さん方の御協力を得て分権を推し進めていかなければ、我々の幸福はありえないと痛切に感じている次第でございます。

 

川島

ありがとうございました。阪神大震災のときの危機管理問題を例に挙げて問題の提起をいただきました。

ちょっと話題が違うのですが、諸井委員長から規制緩和と分権は車の両輪だというお話がありましたが、果たして、規制緩和と地方分権は、両方とも同じように進んでいるでしょうか。私は規制緩和のほうがやや遅れているような感じがするのですが、実感としてはいかがですか。

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