ところが行政の場合は、単年度の内容はわかりますけれども、継続性については重点が置かれていません。議員になっても、決算参考資料なんてほとんど目を通さないものですが、あの参考資料から一つ一つヒモといていかない限り、起債や資産の実態についてはわからないわけです。
国債発行残高が250兆円あるといって、新聞は大騒ぎをするのですが、今日まで戦後50年間で築いてきた道路や公園、河川等の資産はいったいどれだけになるのかということが全然明確になっておりません。借金があるというなら、国の資産もこれだけあるのだということを示して、国民の皆さんにこの借金はそれほど不安ではないということを明確にしていくべきだと思います。起債ということだけが一人歩きし、これまで築いてきた資産が忘れられておりまして、議会では起債に対する不安ばかりが問題視されるわけです。
行政というのは予算には強くて、必死になって予算獲得をされるわけですが、使うことについては、あるものは使ったらいいというくらいの意識しかないわけです。ところが民間はそうではありません。民間の場合は予算編成は実にルーズというか、大枠しか決めませんが、 1日1日の経理は的確にやっていきます。この点は行政にも取り入れるべきだと思います。予算はルーズでもいいけれども、日々の支出を明確にし、決算に強い職員を作っていくことが、行政改革で一番重要な点だと思っております。
また、役所の決算書では、起債という言葉を使っていますが、実はこれは借金です。起債などという、ごまかしたような表現ではなく、借金といえばもっと実感があるわけです。さらに、公債費とあるのは元利償還金です。元金の返済と利息の支払いなのに公債費と書いてあります。なるほど文字を読んだらわかりますけれども、耳だけで開いたら誤解します。企業経営と同じようなセンスを入れることについても提起してほしかったというのが私の感想でございます。
川島
ありがとうございました。全国的にも新しい実験型の行政といいますか、挑戦型の町政を進めていらっしゃる野中町長さんだけに、最初から非常に大きなテーマで問題提起をしていただきました。今度の勧告が市町村にはどういうように受け止められているかという点について、町長さん御自身のお考えでもいいですし、他の町長さんの意見を聞かれたものでも結構ですが、伺えないでしょうか。
野中
大いに期待をしております。この期待が裏切られないように、財政の裏付けをきちんとしていただいて、町村に権限委譲された事務が自主性を発揮して処理できるようにして欲しいと思います。お金のない事務移譲はあり得ませんので、この裏付けをきちっとしていただくことを市町村長のみんなが期待しています。