日本財団 図書館


029-1.gif

 

橋本総理が今日の閣議決定の後の談話で、地方分権を前提として、省庁再編もあるべきだという意見を明言された点は、大変重要なことだと思いますので、是非そのとおり、進めていただき、決して地方分権を省庁再編の中に埋没させないでいただきたいという感じをもちました。

 

川島

その点は同感でございます。続きまして、小幡先生は分権委員会の地域づくり部会のメンバーでもあるわけですが、一方、学究の徒として、分権の問題についていろいろお考えのこともおありだと思います。とりあえず諸井講演を聞いた感想から伺いたいと思います。

 

小幡

私は行政法を上智大学で教えておりますが、分権委員会には地域づくり部会の専門委員ということで、参画させていただいておりますので、こういう席にきますと、被告席に座っているような感じがいたします。

先ほど、諸井委員長から、非常にコンパクトにまとまった基調講演をいただきました。勧告には多少堅苦しい言葉もあって、一般の方にはわかりにくい面があるのではないかと思いますので、私たち分権委員会に関わった者が、わかり易く要点をピックアップして理解を広めていきたいと思っております。

諸井委員長から、住民自治という大きな目標から見れば、勧告で示したことは出発点にすぎないというお話がございました。分権はやはり住民のために行うものですから、分権委員会では、住民のための分権でなければいけないと、心してやってきたつもりでございます。ですから勧告という形で出しましたけれども、今後はこれをしっかりと実効性のあるものにしていくとともに、自治体の方々、それから住民の皆さんの御協力によって、勧告で示したことを実現していただきたいと思っているところでございます。

今回の地方分権の動きは、明治維新、戦後改革に次ぐ第3の改革などと銘打っておりますが、そのわりにはいろいろまだ課題が残っているではないかという御批判をいただくわけでございます。諸井委員長もおっしゃいましたように、今までの日本は、地方が非常にたくさんの仕事をしているが、実はその大部分が機関委任事務となっていて、国が決めたことを、地方は国の手足としてやればよいという仕事であったわけです。そこで機関委任事務のような中途半端な制度は廃止すべきだということで我々の議論は出発いたしました。ただ法定受託事務などで国の関与が残った部分もありますが、かなりの部分が自治事務になったということは、第3の改革と呼ぶに値するのではないかと思っております。

今後は、せっかく自治事務になったのですから、自治体の方々におかれましては、当初しばらくは止むを得ないとしても、今までどおりのやり方ではなく、制度改正の趣旨をよく御理解いただいて、御自身の判断で事務を進めていただきたいと思っております。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION