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しかし、こうした困難な課題にあえて踏み込んだということは、後世から評価されるものと思っております。

勧告に地方団体側の主張を100%とりあげていただいたわけではなかったので、我々としては多少意見もありますけれど、地方自治に直接携わっている者といたしましては、これまで上下・主従の関係であった国と地方の関係を対等・平等の関係に転換するという大きな理念の下に諸課題を整理されている点は、高く評価できるものだと思っております。

それと、何度もお話が出ておりましたが、委員会とか審議会の答申というのは、普通は抽象的な表現でとりまとめて、あとは行政に任せるということで済むのですが、一つ一つ各省庁の局長や審議官と膝詰めでやられたということでありまして、これは会社の社長さんが組合交渉を全部自分で担当してきたということと同じようなことでございまして、並大抵のことではなかったと思います。各省の責任者ともそれだけ話し合いをし、合意をとりつけた上で、勧告をだされたということでありますので、その実現性については、しっかりした担保があるというように思います。その点においても評価したいと思っております。

ただ問題は先ほど諸井委員長のお話の中で、税制調査会との所掌範囲の話がありましたけれども、このあたりはもう少し分権委員会には踏み込んで欲しかったと思います。権限委譲と財源の充実は切っても切れない関係にございますので、税財源の問題が我々にとっては一番の不安材料でございます。人間はいくら対等だといいましても、やはりお金をもらう方とわたす方では知らない間に力関係が生じてくるものでございます。お金をもらうほうの側にそれを権利として認めるとか、あるいは国からお金をもらわなくてもいいようにしてもらわないといけないと思っておりまして、今後、私たちがお願いもし、また、監視していきたいのはこの問題だと感じております。

 

川島

ありがとうございました。勧告について御注文もおありのようですが、その点はあとでお伺いすることにいたします。知事として今回の勧告について我が意を得たりという点や国と府県の関係、府県と市町村の関係などでお感じのことがございましたらお聞かせください。

 

荒巻

分権委員会の委員の皆さんたちの御苦労に対しては、いくらお礼をいっても足りないぐらいで、大変よくやっていただいたと思います。

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