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それから税の問題があります。この点についてはどうも一番評判が悪く、税財源のことがちゃんと書いてないではないかと、どこに行っても叱られるわけです。ここのところは私どもがいちばん苦労したところでございまして、先ほど申し上げましたように、国の税金が全体の3分の2で、支出のほうは地方のほうが3分の2となっており、この3分の1の乖離をどのように解消していくかということが残るわけです。このため、結局は国税で取っているものを、何らかの形で地方税に移さないといけないという問題につきあたります。補助金の削減も非常に大きくなってくれば、当然、税としての手当てをしなくてはならないわけです。そこで、分権委員会は所得税とか、消費税などの具体的な税目を示し、その税率をこうすべきだなどといったことについて踏み込んだ勧告をすべきであったというお叱りを受けるわけです。

ただこの問題は、本来、税制調査会が扱うべき仕事なのです。実は私はその委員もしているのですが、税制調査会というのは、大蔵省だけの審議会ではなくて、事務局は自治省の税務局と大蔵省の主税局との共管になっています。そこで国税、地方税の問題を議論して、答申を出していくという形になっております。実はまだ地方税をどうしていくかという議論は税調ではほとんどなされていませんが、これからは当然出てくるものと思います。法人税関係の問題も出てきますし、それに伴っていろんな財源の問題も出てきますから、当然これは議論しないといけないわけです。その議論がまったくされてないのに、分権委員会のほうで勝手にああしろこうしろといわれては困るということを言われるわけです。

それで我々も非常に困りまして、結局これは皆さんから叱られるのですが、地方税をもっと充実しないといけないとか、国税から地方税に改める税目としては、安定性のあるものにすべきであり、法人関係税のように景気動向によって大きく増減するものや地域的偏在性のあるものは困りますといった書き方をしているわけです。心はやはり所得関係と消費関係なのですが、これから地方税を充実してもらうのはそういった税ではないでしょうがないという意味を込めております。

 

 

 

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