中間報告というのは、それまでにまとまった所を具体的に出すわけですが、その時点ではまとまったものが何一つない状態であったわけです。そうすると中間報告を出すやり方としては二つありまして、一つはすでに決まっているようなこと、例えば大綱に書いてあること、法律に書いてあること等々を並べるというごまかし方をするか、あるいはその時点における我々委員会の考え方を率直に出して世に問うかのいずれかでありまして、どちらを取るべきかということを、実は委員会で相談したわけです。
前者のやり方ならば無難でありますが、その代わりほとんど意味がなく、分権委員会は何を考えているのかということになってしまいます。後者をやった場合には格好はいいのですが、問題はそのあとです。我々のいったとおりに物事が決まるわけがないのですから、中間報告が格好いい分、そのあとは後退につぐ後退であると批判されるに決まっているわけです。それでどっちを取るかということで議論しましたら、委員7人全員がやはり後者の道を取ろうということになりました。たとえ後でいろいろ批判されようと、我々の考えをはっきりぶつけようということで、中間報告を出したわけでございます。
この中間報告では機関委任事務制度については、撤廃を決断すべきであると表現しておきました。撤廃すべきであるというと、勧告になってしまいますので、そういう表現にしておいたわけであります。